週に一度は西部劇

ブルーレイで『片目のジャック』(1960年/監督:マーロン・ブランド)を観る。20年以上前にビデオで観て以来の再見です。

1880年のメキシコ、銀行強盗をしたリオ(マーロン・ブランド)はメキシコ官憲(ロドルフォ・アコスタ)に仲間のひとり(ハンク・ワーデン)は殺され、相棒のダン(カール・マルデン)と逃走。しかし、官憲に追われてリオの馬が倒れ、別の馬を探しに行ったダンは金を持ったまま姿を消します。リオは捕まり、5年後刑務所から脱走。ダンを捜していたリオは、無法者のボブ(ベン・ジョンソン)からダンが保安官をしているという町の銀行強盗に誘われます。ダンはマリア(ケティ・フラド)という女性と結婚しており、マリアの連れ子・ルイザ(ピナ・ペリサー)はリオに一目惚れ。リオもルイザを愛するようになり、一夜を共にします。ルイザとの関係に怒ったダンは、町のならず者を正当防衛で殺したリオを、口実をつけてリンチし、町から追い出しますが……

片目のジャックとはトランプのスペードとハートのジャック札。スペードとハートは横顔で、片目なんです。でもって、スペードは戦い、ハートは愛情を表していて、主人公の複雑な心理を描いた作品ということになります。もう一つ、劇中でブランドがマルデンに「お前は片目のジャックだ。俺は裏の顔を知っているぞ」というセリフがあるんですが、善の表情に隠された人間悪をも指しているんですな。ブランドが好みそうな題材で自ら監督したのもわかる気がします。

海岸がたくさん出てくるところが西部劇としては珍しいくらいで、ブランドの演出は切れ味鋭いところまではいっていません。ブランドの内面を隠した無表情演技も憂鬱なだけ。私はこの作品をリアルタイムで観ているんですが、ブランドに西部男のカッコよさを感じませんでした。それと、ジョニー・バーネットが歌う主題歌がヒットし、克己しげるが日本語で歌ったのを観る前に聴いていて、劇中で流れなかったのでガッカリした記憶があります。

♪~片目のジャックは行くよ、夕日に照らされて。荒野を横切り、果てない旅に~