週に一度は西部劇

録画していた『奴らを高く吊るせ!』(1968年/監督:テッド・ポスト)を観る。レオーネの“ドル三部作”で世界的スターとなったクリント・イーストウッドが、アメリカに帰って主演した西部劇です。

ジェド(クリント・イーストウッド)は、牛泥棒の嫌疑をかけられ、弁解などをきいてもらえず、9人の男に吊るし首にされます。十分に首がしまらなかったおかげか、通りかかった連邦保安官ベン・ジョンソン)に瀕死のところを救われ、奇跡的に命びろい。9人の男を復讐のために執拗に追いつめ、殺していけばマカロニウエスタンですが、そこは本場西部劇なので判事(パット・ヒングル)から元保安官という経歴を買われて連邦保安官に任命され、法に則って行動。

囚人護送に行った町で、自分の鞍を奪った片目の男を見つけ、1人目(ジョセフ・シローラ)は正当防衛で射殺。2人目(ボブ・スティール)は自首して仲間の名を教えるのね。3人目(アラン・ヘール・ジュニア)は逮捕。牧場主を殺して牛泥棒した4人目(ブルース・ダーン)を追跡して捕らえ絞首刑。リンチのリーダーだったウィルソン(エド・ベクリー)は残ったルーミス(L・Q・ジョーンズ)他3人の仲間に主人公を殺そうと持ちかけますが2人(ラッセル・ソーソンとネッド・ロメロ)は逃亡します。主人公は3人に殺されかけますが、雑貨屋の女主人(インガー・スティーブンス)の看護で命を取りとめ、彼らを捕らえるべくリーダーの牧場へ……

監督は、『ローハイド』『ガンスモーク』『ライフルマン』などテレビ西部劇を手がけていたテッド・ポストで、オーソドックスな西部劇らしい画面構成と演出をしていますが、新しさはありません。デニス・ホッパーを射殺する囚人護送のベン・ジョンソンや、囚人たちの顔を見るインガー・スティーブンスは、本筋とは関係ない持って回った話で少し間延びしています。内容的には今イチですが、ウィリアム・ウェルマンの『牛泥棒(オックス・ボウ事件)』に感銘を受けたイーストウッドが帰国後最初の西部劇に首吊りリンチを主題にしたこの作品を選んだことや、死にかけた男の復讐話が彼の最初の西部劇監督作品『荒野のストレンジャー』につながっていくことから、イーストウッド映画を観ていく上では欠かせない作品で~す。