週に一度は西部劇

録画していた『新・夕陽のガンマン~復讐の旅』(1967年/監督:ジュリオ・ペトローニ)を観る。マカロニブーム下降期の1968年4月に公開された出来の良いマカロニ西部劇。惹句は、「夕陽が燃える!復讐に賭けた男が燃える!荒野の果て、五人の仇を追ってガンマン遂に最後の決斗!」です。

15年前に両親と姉を殺されたビル(ジョン・フィリップ・ロー)は、復讐する執念だけで生きてきました。記憶にあるのは、首領格の男の顔、左の額から頬にかけて切り傷のある男、変わった耳飾りをつけた男、胸にトランプの刺青のある男、そして、自分を火の中から助け出し、荷馬車の下に押しこんでくれた男のドクロのペンダント。そんなある日、射撃の練習をしているビルの前にライアン(リー・ヴァン・クリーフ)という男が現れます。一味と何か関係があると睨んだビルはライアンの後を追い……

15年前にライアンは現金輸送車を襲った仲間に裏切られて服役したのですが、裏切った仲間というのがビルの復讐の相手と同じで、二人は反発しあい、邪魔しあい、その中で共通の目的を持った男の友情が生まれていきます。『夕陽のガンマン』的感じね。向こう見ずの若者に対して、熟練のガンマンがガンマンとしての心得を授けるところは、同時期の68年5月に公開された『怒りの荒野』に似たところがあります。「一人に弾4発はムダ」とか「背後に気をつけろ」とかね。

最後は仇の一味が占領しているメキシコの村で、村民もたちあがって『荒野の七人』のごとく大銃撃戦。戦いの最中、ビルはライアンの胸にドクロのペンダントを見ます。ライアンが仇の仲間だったことがわかり、対決するラストは予想通りの爽やかなもの。村民がいつのまにかいなくなってアレレというところもありますが、砂嵐の中での銃撃戦は工夫があってグッド。モリコーネのテーマ曲も独特のもので、印象に残ります。

「少年の頃、家族が惨殺され、主人公が犯人たちの特徴を記憶し、年配者から戦いの手ほどきを受けて復讐をとげていくが、師匠も実は…」というプロットは、日本の時代劇『新書・忍びの者』と同じ。さらに、この『新・夕陽のガンマン』からいただいたのが、高倉健の『荒野の渡世人』で~す。