西部劇コメディといっても

西部劇パーフェクトコレクションの『腰抜け千両役者』(1950年/監督:ジョージ・マーシャル)を観る。英国の執事になりすましたヘボ役者が西部で英国流の行儀作法を教えようとする喜劇映画。

1900年代の初め、ニューメキシコの成金奥様(リー・ベンマン)が娘アガサ(ルシル・ポール)に淑女教育をほどこすためロンドンにやってきます。お金目当ての偽伯爵がアガサに目をつけ、役者のハンフリー(ボブ・ホープ)を雇って執事に仕立て、邸宅を借り受けて母娘を招待。奥様は偽伯爵より執事のハンフリーが気に入り、西部の田舎者に英国流の行儀作法を知らしめるためにハンフリーを連れて帰ります。アガサの父マイク(ジャック・カークウッド)は娘が伯爵と結婚するものと勘違いしたため、ハンフリーは英国伯爵と間違われて町は大騒動。アガサに恋している乱暴者のカート(ブルース・キャボット)はハンフリーを狙いますがうまくいきません。旅行中のルーズベルト大統領が町にやってくることになり……

ボブ・ホープが主演で舞台が西部となると、どうしても『腰抜け二挺拳銃』を思いうかべてしまいますが、残念ながら西部劇のパロディは殆どなく、英国文化のパロディが中心。内容も『腰抜け二挺拳銃』や『腰抜け二挺拳銃の息子』より格段に落ちる出来ばえ。ホープはさかんにジョークを連発するのですが、期待したほど面白くありません。アクション満載のキツネ狩りの場面が犬たちの好演もあって何とか愉しめる程度。相手役のルシル・ポールがテレビの『アイ・ラブ・ルーシー』や『ルーシー・ショー』で見せたようなアクの強さがなく、思ったほど可笑しくなくて失望しました。