懐かしの大作映画

録画していた『ローマ帝国の滅亡』(1964年/監督:アンソニー・マン)を観る。ローマ帝国衰退に伴う愛憎スペクタクル映画。

ドイツ北方の蛮族制圧のために出陣していたローマ皇帝アウレリウス(アレック・ギネス)は、余命いくばくもないと知り、暴力的な息子コンモドゥスクリストファー・プラマー)より有能な軍団指揮官リヴィウス(スティーブン・ボイド)を後継者にしようと考えていました。しかし、アウレリウスは侍従のクレアンデル(メル・ファーラー)によって暗殺され、コンモドゥスが帝位を継承。コンモドゥスの姉ルシラ(ソフィア・ローレン)はリヴィウスと愛しあっていましたが、ローマと敵対するペルシャとの架け橋とするためにアルメニアのソハマス王(オマー・シャリフ)と政略結婚します。ローマに反抗していた蛮族の族長バロマー(ジョン・アイアランド)もリヴィウス軍の哲学者ティモニデス(ジェームズ・メイスン)の懐柔によってローマに従属。平和になったのもつかの間、コンモドゥス元老院がローマに冨を集めるため、従属国に重税を課したことから東方で反乱が起こります。リヴィウスアルメニアペルシャの連合軍を破り、ルシラを伴って凱旋しますが……

オープンセット、美術、衣装、大群衆のエキストラ、現在では不可能な壮大なレベルです。ヤキマ・カヌートのアクション演出(特に、ボイドとプラマーの戦車競走は見応えあり)は悪くないのですが、アンソニー・マンの全体演出は平板で今イチ。ディミトリー・ティオムキンの音楽も荘厳さが不足。マンもティオムキンも史劇にむいていないような気がします。後年、この作品を素にしたようなリドリー・スコットの『グラディエーター』(2000年)がありますが、ドラマとしての厚みは『ローマ帝国の滅亡』よりありました。