ベルモンド関連で

録画したままだった『いぬ』(1963年/監督:ジャン・ピエール・メルヴィル)を観る。ジャン・ポール・ベルモンドが主演した仏ノワール映画です。

4ヶ月前に出所した盗賊・モーリス(セルジュ・レジアニ)は、次の仕事のためにかつての仕事仲間ジルベールを訪ねます。話をしていて服役中に妻を殺したのがジルベールと確信し、彼を射殺。ジルベールの一味が強盗した宝石を奪い、空き地に埋めます。仕事の日、親友のシリアン(ジャン・ポール・ベルモンド)が用意した道具を持って、モーリスはレミーと二人で大邸宅に押し入りますが、警官隊が駆けつけ、レミーは殺され彼も負傷。逃走に成功するものの、モーリスはジルベール殺しの容疑で逮捕されます。シリアンはモーリスの愛人テレーズ(モニーク・エネシー)が密告者と確信し、彼女を殺害。ジルベールの仕事仲間のヌテシオ(ミシェールピッコリ)の情婦フェビアンヌ(フェビエンヌ・ダリ)から、ジルベールが殺された夜にヌテシオと部下のアルマンがジルベールを訪ねていたことを聞きだしたシリアンは、モーリスを助け出すためにヌテシオとアルマンをジルベール殺害犯人に仕立てることに成功。しかし、拘置所にいたモーリスはシリアンを密告者と考え、殺し屋を雇ったことから……

前半は、誰が密告者(いぬ)かというサスペンス。後半は、仲間割れに見せかける偽装工作のサスペンス、そして誤解から殺し屋に狙われるサスペンスと続きます。メルヴィル得意のノワール映画で、演出タッチは重苦しいですが、状況描写と人物描写はしっかりしています。この頃までのベルモンドはシリアスな役が多く、後年の特徴となる軽妙さはありませ~ん。