週に一度は西部劇

録画したままだった『騎兵隊』(1959年/監督:ジョン・フォード)を観る。インディアン相手の“騎兵隊(Cavairy)”三部作と異なり、南北戦争における北軍騎兵隊(Horse Soldirs)の物語。

1863年4月、グラント将軍(スタン・ジョーンズ)の命令でマーロー大佐(ジョン・ウェイン)は敵の補給を断つために北軍騎兵隊を率いて出発。作戦は南軍の背後を迂回して兵站基地となっている駅の破壊すること。同行するのが軍医のケンドール(ウィリアム・ホールデン)で、マーローは藪医者の治療で妻を死なせたことから医者に対して偏見を持っています。ケンドールもガチガチの軍人は嫌いで、二人はそりが合わないのですが、一行は途中でハナ(コンスタンス・タワーズ)の屋敷に宿泊。彼女に作戦会議を盗聴され(ストーブの煙突が伝声管になるアイデアはグッド)、彼女と黒人召使い(アルシア・ギブスン)を連れて行くことになります。ハナは、最初は北軍ということで二人を嫌っていますが、負傷兵の看護を手伝ううちにケンドールを好きになっていくんですな。作戦は成功し、適中突破が後半となります。激戦の末、橋を爆破して南軍の追撃路を断ち、ウェインは帰隊しますが、ケンドールは南北両軍の負傷兵の治療のためにハナと敵地に残ります。

そりの合わない二人が色々な出来事を通じて友情が芽生えていくというのは定例パターンですが、ウェインとホールデンのキャラが活かされた役柄設定といえます。フォードらしいユーモアをまじえたエピソードを積み重ねた南北戦争映画ですが、主題が明確になっていません。インディアンと違って、南軍は同じ白人で、明確な敵として描けなかったことに原因があるような気がしますね。南軍幼年学校の少年兵の突撃に対して、ウェインが「子どもには敵わない」といって退却するのは、微笑ましいエピソードですが、戦争の悲惨さ(史実では多くの少年兵が死んでいる)とは程遠いものとなっています。『ゴッド&ジェネラル 伝説の猛将』を観たすぐ後ということもありますが、きれいごとが多すぎるんですよ。戦闘シーンの演出も従来のフォードと比べるとダイナミックさに欠け、作品全体の出来も今イチといえま〜す。