ドロンとブロンソン

録画したままだった『さらば友よ』(1968年/監督:ジャン・エルマン)を観る。金庫破りの二人の男の友情を描いたクライムアクション。

傭兵のプロップ(チャールズ・ブロンソン)と軍医のパラン(アラン・ドロン)がアルジェからマルセイユに帰還してきます。プロップは部下をかき集めてコンゴでひと稼ぎしようと考えており、それには軍医が必要。プロップはパランを誘いますが、パランは無視してイザベル(オルガ・ジョルジュ・ピコ)の車に乗り込みます。イザベルはパランの同僚だった軍医と約束していた仕事をパランに依頼。それは、医務室の隣にある金庫に密かに持ち出した債券をクリスマス連休中に返して欲しいというもの。イザベルは医務室の助手ドミニク(ブリジット・フォッセー)にパランを新しい医者として紹介。パランはイザベルが用意した隠しカメラで金庫を写しますが、ダイヤル錠の番号がわかったのは七つのダイヤルのうち三つだけ。クリスマス連休に入り、パランが作業を開始した時、パランをつけていたプロップが現れます。プロップは金庫の中の2億フランを狙っており、二人は一緒に仕事を開始。しかし、ふとしたことから金庫室に閉じ込められ、二人の間に奇妙な友情が芽生えます。長い苦闘の末、金庫は開きますが中は空っぽ。壁をしゃにむに崩し、通風孔を通って医務室へ脱出。そこには警備員の射殺死体が転がっています。二人は罠にかけられたことを知り……

警察に捕まったブロンソンはドロンのことを知らぬ存ぜぬで通し、その間にドロンが真犯人を見つけます。友情が結ばれていく経過が上手くできており、いつもニヤニヤとふてぶてしいブロンソンがグッド。ブロンソンがくわえたタバコにドロンが無言で火をつけてやるラストは、屈指の名シーンです。この映画のヒットで、“さらば○○”なる便乗邦題の映画がやたらと多くなります。『さらば恋の日』(69)、『さらば夏の日』(70)、『さらば美しき人』(71)、『さらば青春の日』(71)、『さらば荒野』(71)、『さらば外人部隊』(72)、『さらば白き氷壁』(72)、『さらばバルデス』(73)、『さらば冬のかもめ』(73)といった具合に70年代初期に集中。ちなみに、50年代には“さらば”がついた映画は1本もありませ~ん。