週に一度は西部劇

『大砂塵』(1954年/監督:ニコラス・レイ)を再見。

砂嵐が吹き荒れるアリゾナの谷間の町にジョニー・ギター(スターリング・ヘイドン)がやってきます。ジョニーが訪れたのは、ヴィエナ(ジョーン・クロフォード)の賭博場。ジョニーが食事をしていると、エマ(マーセデス・マッケンブリッジ)が町の有力者マッキヴァース(ワード・ボンド)たちを引き連れて乗り込んできます。4人組の駅馬車強盗があって、容疑者のダンシング・キッド(スコット・ブラディ)を引き渡せと言うんです。そこへ当のキッドたち4人が現れます。砂嵐の中を登場人物が勢ぞろいするので『大砂塵』という邦題になったのかな。

ジョニーとヴィエナは5年前に別れた恋人同士で、その間にヴィエナとキッドはできていますが、再会によって焼けぼっくいに火がつくのね。エマはキッドに惚れているので、キッドが惚れているヴィエナが憎いんですな。ヴィエナが鉄道用地を買い占めたことから、町の連中はヴィエナをこころよく思っていません。愛憎渦巻く、色と欲の物語で、これまでになかった異常な西部劇です。

ジョーン・クロフォードマーセデス・マッケンブリッジの演技のわざとらしさもあって、公開当時の評価は悪かったようです。その後、ニコラス・レイがフランスで再評価され、この作品の評価も見直されました。

再見して思ったのが、西部劇初出演だったアーネスト・ボーグナインの存在。仲間を裏切り、スコット・ブラディを射とうとして、スターリング・ヘイドンに射ち殺される悪い奴ね。ヘイドンとの重量級の格闘は、ボーグナインの持ち味が出ています。肉体派悪役はピッタシ。

音楽を担当したのはビクター・ヤング。主題歌の「ジャニー・ギター」はヤングの曲にペギー・リーが詞をつけて歌い、大ヒット。多くの歌手や楽団がカバーするスタンダードになりました。『誇り高き男』と同様に、これも私が映画より音楽を先に知った作品で~す。