古代史はミステリー

nostalji2008-09-15

往復の飛行機の中で、井沢元彦:著の『卑弥呼伝説』(実業之日本社:1995年6月30日初版発行)を読了。密室殺人に絡めて、邪馬台国卑弥呼の謎について言及していく歴史ミステリーです。密室トリックについては独創的なものでなく、トリック集に出ているものを応用しただけ。メインは歴史ミステリーなので殺人事件はおざなりです。でもって邪馬台国卑弥呼の謎ですが、卑弥呼は中国音でヒムカと読み、卑弥呼の後継者である台与はトヨと読むという解釈から、邪馬台国がヒムカとトヨの国ということで日向から豊(豊前・豊後)を支配していた連合国家という新説を出しています。狗奴国に攻撃され、おりしも日蝕が起こったことから巫女の権威を失って卑弥呼は殺されたとのこと。う〜ん、納得感があるなァ。
著者は邪馬台国が東征して大和朝廷を建てたという説をとっており、古事記に出てくる天照神話にも言及しています。なんと天照大神が女でなく男だったとさ。天照大神が天の岩戸に隠れた時、アメノウズメがストリップ・ダンスをするんですが、女の裸に興味を持つのは男というのがその理由。何故、男から女に変わったかというと……、興味のある人は本書を読んでください。
ところで、日本が出てくる最初の記録は漢書弥生時代前期・紀元前)で、そこには「海をはるかにへだてたむこうには倭人がいて、百あまりの国々に分かれている」と記されています。後漢書東夷伝になると、「建武中元2年(57年)、倭の南端に位置する奴国から貢物を持った使者がやってきて光武帝から印綬が与えられた」とあり、金印が志賀島から発見されたことから奴国は博多付近にあったというのが現在の通説ですが、疑問なのは、博多は日本の南端ではないこと。3世紀になると、魏志倭人伝により邪馬台国の存在が明らかになりますが、場所は不明です。3世紀後半から4世紀になると、近畿を中心に巨大古墳群が登場。大和朝廷と呼ばれる王権なのですが、その成立過程は不明です。8世紀にまとめられた古事記と日本書記の中で大和朝廷が日本を統一していく経緯が語られていますが、史実としての信憑性となると疑問。5世紀になると、宋書により日本には“倭の5王”と云われる大王が統治して、中国に朝献していたことがわかるのですが、“倭の5王”がどの天皇にあたるか明確になっていません。とにかく、5世紀までの日本史は推理小説の世界なので〜す。