懐かしのメロドラマ

DVDで『哀愁』(1940年/監督:マーヴィン・ルロイ)を観る。メロドラマ・ベストテン映画には必ず名前があがる作品。

1917年、フランスへの出征を控えて休暇中のクローニン大尉(ロバート・テイラー)は、ウォータールー橋でバレーダンサーのマイラ(ヴィヴィアン・リー)と出会います。空襲警報を聞き、二人で一緒に避難所へ。互いに惹かれあい、クローニンは彼女が出演しているバレー公演を見に行きます。マイラはクローニンから夜食に誘われますが、厳格なバレー教師キーロワ女史(マリア・オースペンスカヤ)はそれを許しません。マイラは親友のキティ(ヴァージニア・フィールド)の助けでクローニンとデイト。クローニンはマイラに結婚を申し込み、次の日に式をあげる約束でしたが、クローニンに急な出陣命令。マイラは駅に駆けつけますが、クローニンは列車の中で、チラと見ただけで話すこともできず別れ。劇場に戻ったマイラは舞台に穴をあけたことでバレー団を解雇されます。キティもマイラを弁護し、キーロワ女史を非難したことで解雇。クローニンの母親(ルシル・ワトソン)と会うことになり、喫茶店で待っている間に見た新聞にクローニンの戦死記事。マイラは絶望して、やって来た母親にまともに応対できず、母親は気を悪くしてスコットランドに帰ります。そして2ヶ月間、病のため寝たっきりになり、この間キティが夜の女となって看護。親友の友情に泣いたマイラはキティと同じ夜の女になります。1年後、死んだと思われていたクローニンが凱旋して帰国。クローニンは駅で客を探して立っているマイラと思いがけなく出会い、再会を喜びますが……

日本で公開されたのは戦後の1949年春、日本に初お目見えしたヴィヴィアン・リー(『風と共に去りぬ』が日本公開されたのは1952年)の心情は、戦争の悲劇を知る日本人の胸をうって大ヒット。

物語は、イギリスがナチ・ドイツに対して宣戦を発した夜に、フランス戦線に向かうクローニン大佐が霧のウォータールー橋に佇み、脳裏に古い想い出が甦るところから始まります。古風ですが、立派な工芸品のようなキメが細かく、タッチの美しい作品です。主題歌ではないですが、「蛍の光」と「白鳥の湖」が印象的な場面に使われていま~す。