今週は三池崇史

録画していた『新宿黒社会 チャイナマフィア戦争』(1995年/監督:三池崇史)を観る。ヤクザと台湾マフィアが対立する新宿歌舞伎町を舞台に、中国残留孤児の二世である刑事の死闘を描いたアクション映画です。

王志明(田口トモロヲ)率いる台湾マフィア・龍爪と内田(大杉漣)が組長の日本ヤクザが対立している新宿歌舞伎町、刑事の桐谷龍仁(椎名桔平)はヤクザから賄賂をとって龍爪の犯罪を捜査。桐谷は中国残留孤児の二世で、賄賂は家族の生活を守るためのものだった。弁護士を目指していた弟・義仁(井筒森介)が、裏社会で成り上がるために龍爪を利用しようと王志明に近づいていたことから……

Vシネマで活躍していた三池崇史の初の劇場公開作品。「臓器販売、売春、麻薬、殺人、賄賂、ホモセクシャル、そして家族愛。何が正義で、何が悪か、人間の二面性を斬新な映像で描いたピカレスク・バイオレンス・ムービー!」と惹句通りの作品です。A級作品だと空回りが目立つ三池崇史ですが、低予算B級映画だと力を発揮していますねェ。桐谷の上司の警部役で平泉成も出演していま~す。

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古い作品だが

録画していた『将軍たちの夜』(1966年/監督:アナトール・リトヴァク)を観る。第二次世界大戦下のワルシャワとパリで発生した猟奇事件を描いたサスペンス映画です。

1942年のワルシャワ、無惨に殺された娼婦の死体がアパートで発見されます。ドイツの将軍の服を着ていたという目撃者の証言から、軍事警察のグラウ少佐(オマー・シャリフ)は捜査を開始。当夜、アリバイのない将軍は、ワルシャワ軍団のカプラー将軍(チャールズ・グレイ)、司令部主任のカーレンベルゲ(ドナルド・プレザンス)、特別師団長のタンツ将軍(ピーター・オトゥール)の3人。グラウ少佐は執拗に彼らを追いますが、パリに転属させられます。1944年7月のパリ、連合軍はノルマンディーに上陸し、3人の将軍はパリに集結。グラウ少佐はパリ警察のモラン(フィリップ・ノワレ)にワルシャワでの殺人事件と将軍たちの関係を説明し、犯人捜査の協力を依頼。そして再び、無惨な娼婦殺しが発生し……

事件の発生が戦時中で、解決が戦後。時間的なものだけでなく、ワルシャワの市街地を再現した大規模なセットを機甲師団が破壊するシーンの迫力など、スケールの大きさを感じさせます。ストーリーはたいしたことはないのですが、ピーター・オトゥールの変質者演技が作品の価値を高めましたね。ヒットラー暗殺計画を絡めたりして、第二次大戦外伝とでも言うべき異色作品で~す。

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最新ホラーということで

録画していた『犬鳴村』(2019年/監督:清水崇)を観る。九州に実在する心霊スポット・旧犬鳴トンネルにまつわる都市伝説をベースにしたサスペンス・ホラーです。

臨床心理士・森田奏(三吉彩花)の周りで次々と不可解な出来事が発生します。共通していたのは心霊スポットとして知られる犬鳴トンネルが関係していること。真相を確かめるべく現地に向かった奏は、トンネルを抜けた先にあるという地図から消えた村“犬鳴村”に足を踏み入れますが……

政府によって抹殺され、ダムの底に沈んだ村の住民の呪いが一方にあって、その村から助け出された赤ん坊の因縁話が主人公に係わる主筋となっています。そのため、ホラーの要素が散漫になり、恐怖が伝わってきません。登場人物がやたらと多く、“犬鳴村”とは関係ない幽霊も出てきたり、犬神伝説やタイムスリップなど、何でも詰め込めばいいというもんじゃありませ~ん。

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二本まとめて

録画していた『呪怨 白い老女』(2009年/監督:三宅隆太)と、『呪怨 黒い少女』(2009年/監督:安里麻里)を観る。人気ホラー『呪怨』10周年の節目に製作された二部作です。

呪怨 白い老女』は、一家惨殺事件にまつわる呪いの物語。クリスマスケーキの宅配青年が訪問した家で家族5人の惨殺死体を発見します。数年後、高校生のあかね(南明奈)の前に、事件の被害者のひとりで当時の親友の霊が現れ……

家族が引っ越してきた家は『呪怨』の俊夫(カメオ登場する)が住んでいた家なのか、司法試験に落ちた息子(ムロツヨシ)が何かに憑かれたように家族5人を次々に惨殺し、首を吊って自殺。でもって、その事件や家族に係わったものが次々に呪われていくんですな。

呪怨 黒い少女』は、産まれることができなかった少女の呪いの物語。看護師の裕子(加護亜依)は突然気を失った少女・芙季絵の担当となりますが、その日から奇妙な体験をします。芙季絵の体内に“嚢腫”が発見され、産まれてくることができなかった者の怨みが少女を蝕み、周囲の人を呪殺。裕子に恋している青年(瀬戸康史)は、裕子の様子が異常なのに気づき、彼女の部屋を訪れますが……

呪怨』の連鎖とは異なるものになっています。両作品ともビジュアルで驚かそうとしているだけで、心理的恐怖はありません。所詮、お化け屋敷的ビックリ映画で~す。

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和製ホラーということで

録画していた『回路』(2000年/監督:黒沢清)を観る。第54回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したホラーです。

植物販売会社に勤めるミチ(麻生久美子)は、出社してこない同僚の田口を訪ねます。田口はパソコンで商品リストを作成しており、ミチにそのデーターの入ったフロッピーを渡した後、自殺。その日から、勤め先の社長は失踪、次々に友達や家族が消えていきます。一方、大学生の亮介(加藤晴彦)は、インターネットを始めますが奇妙な映像が出現。同じ大学でインターネットを研究している春江(小雪)に相談しますが……

死んだ人間の魂があの世に行って、あの世が魂でいっぱいになって、インターネットをかいしてこの世にあふれてくるという怖いお話。といっても、おどろおどろしいシーンはあまりなく、物語はたんたんと進みます。日常の崩壊がテーマとなっており、当時普及しはじめたインターネットを題材にしたところに目新しさがあったので~す。

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まぼろしの時代劇

CATVの時代劇チャンネルで里見浩太朗特集として放送していた『はやと(全13話)』を観了。里見浩太朗が朗でなく郎時代にテレビ時代劇初主演した子供向け30分時代劇です。テレビ朝日系列で1969年1月1日~3月26日放送。林真一郎が主演した『まぼろし城』(原作:高垣眸)の続編として企画されましたが、主人公も設定も変えられ、全く別の内容になっています。

主人公は、悪の組織“まぼろし”と戦う正義の剣士はやと(里見浩太朗)で、オープニングナレーションで「世を忍ぶ仮の名で、その人の名は誰も知らない」と言っているので、本名はわかりません。髑髏がマークの悪の秘密組織“まぼろし”は、世の中に不満を持つ大名や浪人をそそのかして争わせ、日本をわが物にしようと計画。誰に頼まれたか知りませんが、はやとを慕うリキ少年(中島貴)と一緒に、はやとが行く先々で必殺はやぶさ三段斬りの秘剣で“まぼろし”の陰謀を粉砕していきます。

1話完結で物語展開していくのですが、全体をつらぬく基軸がないので、連続物としての面白さがありません。第1話で、はやとはいきなり“まぼろし”一味に命を狙われます。おそらく、『まぼろし城』の続編にするつもりで、前作『まぼろし城』で陰謀をつぶされた“まぼろし”一味の復讐という展開にしたのだと思われますが、主人公を変えたことから、動機不明のままに物語が突入した感じです。妖術使いの役で江見俊太郎や吉田義男、ライバル剣士役で木村功内田良平、女忍者役で真山知子や三島ゆり子など、ゲストは名の知れた俳優なんですが、やっていることがせこくて日本を危機におとしめるようなものでないんですな。最終回でやっと首領のまぼろし(清水元)が登場。正体不明の不死身の男ですが、正体がわかった瞬間、急所もわかり、はやとにアッサリ倒されます。スリルもサスペンスもない演出で、話題にならなかったのが納得、納得で~す。

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帰省中に読んだ本

移動や待ち時間に読んでいた井沢元彦:著の『誰が歴史を糺すのか』(祥伝社黄金文庫:2000年2月1日発行)を読了。歴史に造詣の深い著名人との対談集です。

第1話「日本人のルーツはどこにあるのか」(梅原猛)、第2話「日本人の宗教とは何なのか」(山折哲雄)、第3話「日本という国が抱えてきた精神的問題とは」(猪瀬直樹)、「21世紀の日本人が信じるべき思想とは」(守屋洋)、第5話「歴史上最高の内閣を組閣する」(大石慎三郎津本陽)、第6話「徳川将軍十五代の君主の器量」(大石慎三郎渡部昇一)という構成。

『逆説の日本史』などでユニークな歴史解釈をしている著者らしく、対談相手も独自の歴史観を持つ人たちばかりで、常識にとらわれていないところがグッド。対談として面白かったのは、「歴史上最高の内閣を組閣する」ね。総理の要件としては、現実認識に醒めていて、官僚を抑える能力にも長けていること。そして何より重要なのは、自分が動くのでなく、いかに人を動かせるかが第一条件。でもって、彼らがあげたのが徳川吉宗。“暴れん坊将軍”は、自分で動いていましたけどね。豊臣秀長官房長官というのはわかりやすいで~す。

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