何故か見逃していた

録画していた『花よりもなほ』(2006年/監督:是枝裕和)を観る。父の仇討ちのために江戸に来た若者が、個性豊かな人情味あふれる長屋の住人と接しながら成長していく人情時代劇です。
時は元禄15年、青木宗左衛門(岡田准一)は父の仇・金沢十兵衛(浅野忠信)を捜して早や2年。貧乏長屋での暮らしにも慣れてきました。向かいに住む未亡人おさえ(宮沢りえ)とも親しくなり、仇討ちが本当に武士の道なのか、迷いが出てきます。長屋には吉良を主君の仇と狙う赤穂浪士の小野寺十内(原田芳雄)も住んでおり、宗左衛門は十内配下の寺坂吉右衛門寺島進)とも親しくなり……
主人公は岡田准一ですが、個性豊か長屋の住人の人生模様を描いたグランドホテル形式の作品といえます。長屋の大家役の國村隼をはじめとして、古田新太香川照之中村嘉葎雄平泉成加瀬亮など個性的な傍役がそれぞれの人生を垣間見せてくれ、無駄なシーンがありませんな。仇討ちを題材に、人生論を面白おかしく描いた人情時代劇の秀作で~す。

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入院している母の治療経過と今後の計画について担当医より説明があるので帰省します。従姉妹からの連絡によると、退院は間近いということなので、日記は当分の間、休みま~す。

死語になったが

訃報続きで、ドリス・デイ(97歳)さんが13日に亡くなる。「ケ・セラ・セラ」を知っている人は少ないでしょうね。彼女が出演して劇中でも歌った『知りすぎていた男』(1956年/監督:アルフレッド・ヒッチコック)の主題歌ですが、日本ではペギー葉山が日本語で歌ってヒット。日常会話としても使用され流行語になりました。意味は“なるようになる”で、楽観的意味合いで使われ、「明日のテスト、大丈夫か?」「ケ・セラ・セラさ」といった具合。

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画像は、彼女が表紙を飾ったソノシート・ブック『月刊映画音楽』の創刊号(1961年4月号)。ソノシートも死語になりましたね。ソノシートは特殊ビニール製のレコードで、朝日ソノラマ登録商標ですがフォノシートよりも一般的な用語になりました。ソノシートを知っているのは、還暦すぎた人。そういえば、映画音楽も死語に近いかな。サウンドトラックはジャンルとしてありますが、映画ファンだけのもの(映画に興味のない人は聴かない)ですからね。音楽のジャンルとしての映画音楽は、現在消滅したといっていいでしょう。
話が横にそれましたが、1965年正月号の『キネマ旬報』によると、米国興行者が選んだドル箱スター第1位はドリス・デイでした。アメリカでの人気が抜群だったことがわかりま~す。

今週の訃報

女優の京マチ子(95歳)さんが12日に亡くなる。大女優の京マチ子さんですが、リアルタイムで観ている作品が少ないこともあって、映画での印象はあまり強くありません。私にとっては、“必殺”シリーズね。『必殺仕舞人』『新必殺仕舞人』『必殺仕切人』の3作品です。
必殺仕舞人』は、鎌倉にある駆け込み寺・法然寺の命を受け、旅の途中で“女の恨み”を晴らすという設定で、金で頼みをきく裏稼業の“仕事人”と違って、“仕舞人”は法然寺直属の“超法規的救済措置実行部隊”というユニークな設定が特徴。表向きは法然寺の勧進興行を行う民謡踊り手一座で、京マチ子さんは座長の坂東京山。武器は簪です。簪が武器というのは平凡なのですが、敵の首に突き刺す時の艶っぽさが最高。京山と共に殺しを実行するのは、縄に仕込んだ鋼で敵の喉を斬る一座の用心棒の高橋悦史(新では拍子木の縄で絞殺に変更)と、物陰から敵の隙をついて居合斬りする居候の本田博太郎本田博太郎は主題歌「風の旅人」も歌っていました。
必殺仕切人』は、“必殺仕事人”の勇次(中条清)が主役となり、京さんは殺し屋仲間のお国。元は大奥の中臈易者という設定で、筮竹で敵を刺殺します。「卦は凶!お命終わります」の決め台詞は良かったなァ。

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画像は、『必殺仕舞人

ベテランの味

録画していた『スティール・サンダー』(2017年/監督:パシャ・パトリッキ)を観る。潜水艦を舞台にCIA捜査官が極秘情報を巡って戦うアクション映画です。
CIAの極秘情報が収録されたデータ・チップを取り戻すために極秘捜査していたウィーラー(ジャン・クロード・ヴァンダム)は、謎の武装集団に襲撃され、潜水艦に連行されます。そこは、脱出不可能な政府の秘密テロリスト収容所。情報流出犯人にされたウィーラーは、上司のエドワード(アル・ザビエンザ)から、情報データを開く鍵の在処を尋問されます。エドワードこそ事件の黒幕で、ウィーラーは隙をついて取調室から逃げ出し、独房に幽閉されている謎の男マルコ(ドルフ・ラングレン)を解放。エドワードの行動に不審を持った収容所職員のキャス(ジャスミン・ウォルツ)が味方になり、三人はエドワードの傭兵たちと戦いを開始しますが……
海中を移動している潜水艦が舞台というのは目先が変わっていてグッド。どんでん返しを色々見せるために登場人物がやたら多いのですが、一本調子の演出のため効果が出ていません。潜水艦という閉ざされた世界で繰り広げる安めのアクション。爆発物などで派手に壊しまくったら潜水艦が沈んじゃうものね。ヴァンダムもラングレンも齢をとったせいか動きが重くなりましたが、そこは昔取った杵柄で、ちゃんとしたアクションを見せてくれま~す。

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女性アクションということで

録画していた『エンジェル・ウォーリアーズ』(2013年/監督:フー・ホアヤン)を観る。ジャングルを舞台に、私設軍隊と美女軍団の戦いを描いた劇場未公開のアクション映画です。
バイ・シュエ(ユー・ナン)たち5人の美女が、護衛役のラオ・イン(コリン・チョウ)とタイ奥地のジャングルに冒険旅行にやってきます。そこは未開の部族・虎族の土地で、バイ・シュエは虎族出身のアーセン(シン・ユー)が案内するテレビの取材クルーに同行。取材クルーが武器を持っていることに不審を持ったバイ・シュエたちは彼らと別行動をとりますが、敵と間違われ虎族に襲われます。取材クルーの正体は虎族の土地に眠っている宝石を狙う犯罪組織。彼らも襲われ、ボスのデニス(アンディ・オン)だけが脱出。敵でないことがわかったバイ・シュエたちは、虎族と交流を深めますが、組織に雇われた黒龍リュウ・コハタ)率いる傭兵部隊がデニスと現れ……
女優陣は全員モデル出身ということで美形を揃えていますが、動きはモタモタしていてアクションは今イチ。激しいアクションは、コリン・チョウが受け持っています。男連中の格闘アクションは、香港映画伝統のものがあり見ていられますが、演出は雑で、何じゃコリャというシーンが続出。美女の水着姿が楽しめるだけの作品で~す。

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C級アクション

録画していた『デンジャラス・ブロンド』(2016年/監督:ブランドン・スレイグル)を観る。美女が人身売買組織と戦う劇場未公開のアクション映画です。
失恋したリンジー(デヴァニー・ピン)の傷心旅行につきあい、メキシコにやってきたジェナ(ブロウィン・キャリー・ウィルソン)は、地元女性の案内で訪れた酒場で一服盛られて人身売買組織に捕まります。リンジーの父親は銀行のオーナーで、リンジーは身代金を払って助かろうとしますが……
主人公のジェナが、幼い頃から傭兵だった父親に銃や格闘術を仕込まれた女戦士というのがミソ。メチャクチャ強くて悪党たちを倒していくんですが、それだけでは話がもたないというんで、リンジーの父親が破産寸前だったり、人身売買組織との交渉役のFBI捜査官の中に組織との内通者がいいたりと、ゴタゴタ・モタモタした展開で一向に盛り上がりません。アクション演出もピリッとしたところがなく、今イチで~す。

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B級アクション

録画していた『皆殺しの掟』(2018年/監督:ジェームズ・マーク)を観る。ギャングの跡目を巡って義兄弟が争うクライムアクションです。
孤児だったジョン(ジャン・アイディン)とリー(フォン・チャン)は、ギャングのボスに息子同様に育てられ、組織の両雄として成長します。しかし、ボスがジョンを後継者に指名したことからリーはボスを殺し、敵対組織と手を組んでジョンの命を狙いますが……
ボスが暴力的なリーよりも沈着なジョンを後継者に選んだことから、兄き分だったリーが反乱するというのはよくある構図ですな。ジョンには愛する女性がいて、堅気になろうと思っていたのに後継者にされたものだから、育ててもらった恩から組織を守らなきゃならない義理があります。東映ヤクザ映画の“義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界”ですよ。ジョンを快く思っているFBI捜査官がいて、敵対する二つの犯罪組織をつぶし、ジョンは愛する女性と結ばれてハッピーエンド。リーとの戦いで、何人も殺しておいて、お咎めなしというのは御都合主義すぎます。ジャン・アイディンとフォン・チャンは、スタントマンとして有名なようで、演技はまるでダメでも、カンフーと銃を融合させたアクションは見るべきものがありま~す。

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