意味不明だったが

録画していた『コート・スティーリング』(2025年/監督:ダーレン・アロノフスキー)を観る。1998年のニューヨークを舞台にギャングに襲われて悪戦苦闘する男の物語。

ハンク(オースティン・バトラー)はMLBのドラフト候補になるくらいの選手でしたが、自分が運転する車で事故を起こし、ケガをしただけでなく同乗者を死なせてしまったトラウマから今はバーで働くしがない青年。アパートの隣人のパンクロッカー・ラス(マット・スミス)の飼い猫を数日間預かることになります。すると、わけもわからず、街中のギャングがハンクの部屋に乗り込んできて、預かったものを渡せと言って乱暴狼藉。自分が裏社会の大金絡みの事件に巻き込まれたことを知り、逃げ回る日々。恋人(ゾーイ・クラヴィッツ)が殺され、ハンクは自分を巻き込んだラスと恋人を殺したギャングにリベンジすることを決心し……

大金は麻薬密売に係わるもので、ラスがネコババし、猫の便器に鍵を隠していたんですな。主人公はラスから金を奪い、それを探しているロシアマフィアとユダヤギャングを戦わせます。主人公に格闘能力はないので頭を使うんですな。コート・スティーリングは、野球用語の“盗塁失敗”。主人公の境遇に合わせた題名なんですね。何度も危うくなりますが、最後は盗塁成功。エンドクレジットに、主人公の母親役でローラ・ダーンが顔を見せていま~す。

 

たまにはレコード

ヘラルド・ウィンクラーのLP2枚組『ギター・ムード』を聴く。ヘラルド・ウィンクラーはノーマン・キャンドラーに見出されたフランス出身のギターリスト。ノーマン・キャンドラー楽団をバックに、ムード音楽30曲が収録されています。映画音楽が10曲収録されているのでゲットしたのですが、それまで知らないアーティストでした。静かで軽い曲調で、昼寝のBGMに最適。24曲をCDにダビングしました。

ちなみに、映画音楽は、「禁じられた遊び」「ちいさな恋のメロディ」「ある愛の詩」「見果てぬ夢(ラ・マンチャの男)」「美しき愛のかけら」「白い恋人たち」「黒いオルフェ」「ゴッドファーザー/愛のテーマ」「007/死ぬのは奴らだ」「追憶」です。「美しき愛のかけら」は映画も知らなければ曲も知りませんでした。ミシェル・ルグランの曲で、ペギー・リーが劇中で歌っているそうですが、ペギー・リーの歌も聴いてみたいで~す。

 

お次は

録画していた『吸血鬼』(1967年/監督:ロマン・ポランスキー)を観る。吸血鬼伝説をコミカルに描いたホラー・コメディ。

アブロンシウス教授(ジャック・マッゴーラン)は、自分の学説を証明するために、助手のアルフレッド(ロマン・ポランスキー)をつれて吸血鬼退治の旅をしています。二人はルーマニア西部のトランシルバニアの片田舎の宿屋に宿泊。宿屋はニンニクがいたる所にブラ下がっており、陽気な宿屋の主人シャガル(アルフィー・バス)も教授の質問におろおろする始末。怪しげなセムシ男もうろうろしています。助手はシャガルの美しい娘サラ(シャロン・テイト)に一目惚れ。彼女が風呂に入っているのをカギ穴から覗いていると、吸血鬼が現れてサラをさらってゆきます。教授と助手は二人を追って吸血鬼の城へ。そこには城主の伯爵(ファーディ・メイン)と息子(イアン・カリエ)が住んでいて、助手はゲイの息子に追いかけられます。大騒ぎの末、二人はどうにかサラを救い出して城を脱出しますが……

教授と助手の大胆不敵と同時に間がぬけた可笑しみが抜群。パロディあり、ナンセンスギャグあり、クライマックスの吸血鬼舞踏会はスラプスティックで笑わせてくれます。めでたし、めでたしのはずが意外な逆転で終わるのもグッド。ポランスキーが楽しんで作ったような作品で~す。

 

懐かしのドラキュラ

録画していた『吸血鬼ドラキュラ』(1958年/監督:テレンス・フィッシャー)を観る。ホラー映画史に残るハマー・フィルムの傑作ドラキュラ映画。

ドラキュラ城に到着したジョナサン・ハーカーは図書係として雇われたのですが、真の目的は吸血鬼ドラキュラ(クリストファー・リー)を倒すこと。しかし、女吸血鬼(ヴァレリー・ガレント)に噛みつかれて昏倒。夕暮れに目を覚まし、地下室で棺を見つけ、女吸血鬼に杭を打ち込んで殺しますが、目覚めたドラキュラに倒されます。ハーカーからの手紙を読んだヴァン・ヘルシング(ピーター・カッシング)がドラキュラ城に駆けつけますが、ドラキュラは新たな花嫁としてハーカーの妻ルーシー(キャロル・マーシュ)を求めて去ったあと。ヘルシングは棺に眠るハーカーに杭を打ち込みます。ドラキュラに血を吸われたルーシーが死亡。葬られたはずのルーシーが兄アーサー(マイケル・ガフ)に迫り、ヘルシングが退治。ドラキュラは次にアーサーの妻ミナ(メリッサ・ストリブリング)の血を吸い、彼女をさらって城に帰ります。ヘルシングが後を追い、ドラキュラと死闘を展開。ヘルシングがカーテンを開けると朝陽がさしこみ、ドラキュラの足にあたります。へたりこんだドラキュラにヘルシングが燭台を十字に組んで迫ると、ドラキュラは後ろにのけぞり、陽光を浴びて灰となって消滅。ミナは生常に戻ります。

テレンス・フィッシャーは吸血鬼に襲われるシーンを、それぞれ趣向をかえて描き、スピーディーな展開とクリストファー・リーのドラキュラ演技で恐怖感をもたらしています。リーは、「ドラキュラを演じる時はいつもこの役の威厳、高貴さ、それとともに残酷さ、凶暴さ、そして何より大いなる悲しさを出そうと心掛けた」と語っているように、ドラキュラが当り役となり、この後、『凶人ドラキュラ』『帰ってきたドラキュラ』『ドラキュラ血の味』『吸血のデアボリカ』『血のエクソシズム/ドラキュラの復活』『ドラキュラ‘72』『新ドラキュラ/悪魔の儀式』と繰り返しドラキュラを演じていま~す。

 

たまには名作映画

録画していた『老人と海』(1958年/監督:ジョン・スタージェス)を観る。アーネスト・ヘミングウェイの名作を映画化。

84日も1匹も釣れない老漁師(スペンサー・トレイシー)は、皆から見放された存在ですが、5歳の時に初めて漁に連れていってもらった少年(フェリペ・パゾス)は世界一の漁師だと思っています。少年が餌の鰯を用意してくれて、老人はさわやかな美しさをもってひろがるメキシコ湾の海へ出発。はじめにカツオを釣りますが、やがて船よりも大きいカジキと出会います。カジキは餌に食いつき、船ごと老人をひっぱっていくんです。3日間老人はひっぱられ続け、綱を引く手に怪我をしたりしますが、カジキは力つき、老人は力をふりしぼって銛でしとめます。しかし、カジキが流した血でサメが襲来。カジキに食らいつくサメの群れを老人は銛で応戦しますが、力つきてカジキは骨だけとなってしまいます。港につくと、残されたカジキの骨の大きさに皆はビックリし、少年は誇らしく思い、老人と一緒に漁に行くことを決意。老人はいつも見ているライオンの夢で眠り……

スタージェスらしくない映像詩、ディミトリ・ティオムキンらしくない叙情的な音楽。アクション映画と異なる彼らの素晴らしい一面を見ました。それにしても、潮風と荒波にきたえられた老人を申し分なく演じたスペンサー・トレイシーに素晴らしさにつきま~す。

 

週に一度は西部劇

録画したものの再生することなく保存したままだった『ジャンゴ繋がれざる者』(2012年/監督:クエンティン・タランティーノ)を観る。スクリーンで観て以来の再見。

賞金稼ぎのキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)は、狙う獲物ブリトル3兄弟の顔を知っているジャンゴ(ジェイミー・フォックス)を奴隷商人から助け出して相棒にします。ブリトル3兄弟がいるビッグ・ダディ(ドン・ジョンソン)の農園に行き、奴隷を痛めつけているブリトル3兄弟を殺害。黒人嫌いのビッグ・ダディがKKK団のごとく二人を追いますが、荷馬車に仕掛けた爆弾で一味を粉砕。そして、ジャンゴはシュルツから銃の手ほどきなどを受け、立派な賞金稼ぎになります。売られた妻ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)を買い戻すためにシュルツと大農園主のカルビン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の屋敷を訪れますが……

上映時間165分は長いけど、さすがタランティーノでユーモアを交えて最後まで退屈させません。だけど、2時間程度で収まる内容です。『続・荒野の用心棒』の主題歌(ロッキー・ロバーツが歌う英語盤で、ベルト・フィアが歌う伊語盤でなかったのが残念)に赤いロゴのクレジットというオープニングはまさにマカロニ西部劇。ぬかるみの町も『続・荒野の用心棒』の世界。二人が最初に入る町の酒場の名はミネソタ・クレイ(『ミネソタ無頼』の主人公の名)。黒人女を鞭打とうしている悪党がジャンゴの最初に相手というのも『続・荒野の用心棒』です。ジャンゴが拳銃の練習するときに流れる曲が『怒りの荒野』で、雪の荒野は『殺しが静かにやって来る』ね。ジャンゴとインバネスコートをはおるフランコ・ネロとの会話にニンマリ。だけど、マカロニを意識していたのはここまでで、キャンディの屋敷に行ってからは映画のトーンががらりと変わります。ディカプリオとヴァルツと執事役のサミュエル・L・ジャクソンによる会話を楽しむ世界になるんですな。アカデミー助演男優賞をとったヴァルツの自然な演技に対して、ディカプリオとジャクソンの臭いこと。ジェイミー・フォックスは蚊帳の外ね。クライマックスは、三隅研次の『子連れ狼』のごとく血みどろ銃撃戦。ジャンゴの最後の対決相手は、やっぱりサミュエル・L・ジャクソン大佐。

奴隷問題をテーマにしたので、ブラックスプロイテーション映画ファンも楽しめるようになっています。例えば、ジャンゴの妻の名がブルームヒルダ・フォン・シャフトで、シャフトは『黒いジャガー』の主人公の名。アメリカの恥である奴隷制度を描くのに、従来の西部劇では無理があるので、自分の好きなマカロニ西部劇の形を借りて描いたのでしょうが、私としてはハチャメチャなマカロニ西部劇にして欲しかったです。ドン・ジョンソンが率いる赤い覆面をした一団に襲われたジャンゴが馬車に隠していた機関銃で皆殺しにしたり、白い服装をしたディカプリオが首を傾むけて鞭をふるったり、捕まったジャンゴが首だけ出して地中に埋められ太陽に焼かれる拷問を受けるとかね。

最初観た時には気づかなかったのですが、ブルース・ダーンとラス・タンブリンが顔をみせていま~す。

 

続きでなく

録画していた『続・光る眼/宇宙空間の恐怖』(1963年/監督:アントン・M・リーダー)を観る。前作のラストで光る眼が焼け跡から飛んでいったので続きかと思ったのですが、前作の設定を受けただけの作品でした。

国連による知能検査で、超人的な能力を持つ少年少女が全世界に6人いることが判明。しかも、その母親たちは全て男性との性交渉がないままに妊娠し出産。彼らはロンドンに集められ、ユネスコの科学者(イアン・ヘンドリーとアラン・ベーデル)が調査。各国は彼らの能力を国家的に利用しようとしており、子供たちは女性(バーバラ・フェリス)を人質にして廃墟となった教会に籠城。血液検査から子供たちは未知の生命体とわかりますが、彼らに侵略の意図などはなく、邪魔しないで欲しいと思っているだけ。しかし、軍隊が教会を取り囲み……

前作と比べて展開に無理があるだけでなく、子供たちに魅力がないのが致命的。多人種にして変化をもたせたのでしょうが、前作の金髪で上品な顔だちでひどく冷たい表情の子供たちと比べると見劣りがします。いくら眼だけを光らせてもねェ。