観ないで捨てるには

nostalji2009-05-25

20年前に録画保存していた『傷だらけの人生・古い奴でござんす』(1977年・東映/監督:小沢茂弘)を観る。ビデオデッキを購入した当初は、滅多矢鱈と録画していたものです。ところが、仕事が忙しくて再生することもなく放ったらかし。年月だけは過ぎていき、DVDの時代となり、ビデオソフトは邪魔になるだけとなりましたね。処分する前に、内容だけはチェックしておこうと思い……
でもって、『傷だらけの人生・古い奴でござんす』ですが、昭和初期の大阪が舞台の任侠ヤクザ映画です。鶴田浩二若山富三郎が実の兄弟(全然似ていないけどね)で、互いに敵対する組に所属しているんですな。もちろん、若山の方が悪い組なんですが、それより悪い奴がいます。憲兵を利用し、悪徳ヤクザを操る渡辺文雄ね。御国のために満州慰安所を作るという名目で、天津敏の憲兵隊と若山の組を使って、鶴田の組の縄張りにある飛田遊郭の遊女の引抜きを開始するんです。真の狙いは、飛田を皮切りに全国の遊郭を支配しようとするのが目的。妙な強がりはせず、知的な計算があり、性格にひねりがあって、“単純古い奴”の鶴田よりカッコいいですよ。
悪役が魅力的であるほど映画は面白くなるのですが、最近は個性的な悪役が少なくなりましたね。それもインテリを感じさせる悪役がいません。昔は、陰気なインテリの佐藤慶、狂的なインテリの南原宏治、倒錯的インテリの岸田森、正統派インテリの平田昭彦、そして渡辺文雄のふてぶてしいインテリと、知的悪役が揃っていましたねェ。
画像は、『傷だらけの人生』のレコードジャケット。映画より歌が先で、歌がヒットしたので、それをモチーフに映画が作られました。