意外な良品

nostalji2009-12-10

録画していた『無頼無法の徒さぶ』(1964年・日活/監督:野村孝)を観る。原作は山本周五郎の人情ドラマのようですが、映画の方は人間不信の深層心理を描いたドラマです。男前で腕の立つ経師屋の職人・栄二(小林旭)と、何かにつけてかばい励ましていたグズでのろまな弟分のさぶ(長門裕之)との友情と愛憎が、アキラと長門裕之の好演によって見事に仕上がっています。特に、警察署での栄二とさぶの心の葛藤や、人足寄場に面会にきたさぶの告白は、長門裕之の演技が光っていましたよ。小松方正田中邦衛などの傍役もよく、キャスティングで成功していますね。映像においても、カラーでなくモノクロにしたことで心理の陰影を際立たせており、意外な好編といえます。ただ、アキラのアクションを期待させるような題名だけは頂けませんねェ。