週に一度は西部劇

BSシネマで『許されざる者』(1960年/監督:ジョン・ヒューストン)を再見。オードリー・ヘプバーンが出演した唯一の西部劇。それもインディアン娘(カイオワ族の酋長の妹)です。

ザカリー家の養女レイチェル(オードリー・ヘプバーン)は、母(リリアン・ギッシュ)、長男ベン(バート・ランカスター)・次男キャッシュ(オーディ・マーフィ)・三男アンディ(ダグ・マクルーア)の兄弟と牧場で平和に暮らしています。彼女はインディアンとは知らず、兄弟たちも知りません。なにせオードリーなんですから。

ところが、一家を怨むケルシー(ジョゼフ・ワイズマン)が現われ、そのことをばらすんですな。ワイズマンは狂的な役をやらせると巧いなァ。そして、レイチェルが酋長の妹だと知ったカイオワ族が妹を取り返すために襲撃してきます。隣家の牧場主ゼブ(チャールズ・ビッグフォード)の長男(アルバート・サルミ)がカイオワ族に殺されたことから、インディアンに偏見を持っている近所の連中は一家と絶交。オードリーを密かに愛していた長男のランカスターが、孤立無援となっても彼女を守って戦う決意をするんですよ。

ジョン・ヒューストンは、インディアンに対する白人の人種的偏見をテーマに、ミステリータッチの異色の西部劇に仕上げています。一方で、ハリウッドの赤狩り批判にもなっていますね。インディアンとわかってオードリーに向ける目は、共産主義者と判明した者に向けられた目と同じと云われています。苦闘に満ちた一家の運命を描いた作品で、ポスターの惹句“テキサスの荒野に愛と純潔をかけて戦う美しき乙女の物語!”にあるような、ハーレクイン的ドラマではありません。

オードリーがインディアンとわかって一度は家を出たマーフィが戻ってきて戦ったり、オードリーが実の兄よりランカスターをとるラストは、古き良き西部劇といえます。再見して気づいたのは、物語に直接絡まない若き日のジョン・サクソンの野性的魅力で~す。