息子がタダ券をもらってきたのでカミさんと『母(かあ)べえ』を観に行く。父(坂東三津五郎)を思想犯として勾留され、残された母(吉永小百合)と娘たちの日常の生活を坦々と描くことによって、反戦が強く打ち出された作品になっています。山田洋次監督の演出は実にオーソドックスで、ドラマチックなシーンやハッとするような映像表現はありませんが、吉永小百合の自然の演技が感動を呼びます。とにかく座っているだけで絵になるのですから。彼女なしでは成り立たない映画ですね。演技力を超越した存在感あるスターといったら、今や高倉健と吉永小百合だけでしょうねェ。「死んでからなんて逢いたくない、生きていて逢いたかった」言葉にならない、感動のメッセージです。