劇画『バガボンド』の魅力

nostalji2008-02-18

画像は、『バガボンド』の27巻。1巻(1999年3月23日発売)からザッと読み直したのですが、これがメチャクチャ面白いのです。原作は吉川英治の『宮本武蔵』ね。だけど、登場人物を借りただけで原作とは全く別の作品に仕上がっています。吉川武蔵は、姫路城の幽閉から開放されて京に行った時点で剣の腕前は超一流で、あとは精神修業的なところが多かったのですが、井上武蔵は腕も精神も常に発展途上。強敵(吉岡清十郎なんて“一の太刀”の達人なのだ)たちと対決するたびに、腕が上がっていくのですな。そして、一乗寺下り松で吉岡門弟70人を相手する中で疲労困憊し、無我の境地に達していきます。こんな発想をした武蔵像は、映画にもテレビにも今までなかっただけに斬新です。絵の魅力もさることながら、井上雅彦はカット割りが抜群に巧いですね。映画を見ている感じになります。チャンバラも満足にできない映画より、格段に迫力がありま〜す。