週に一度は西部劇

DVDでマカロニ西部劇『さすらいのガンマン』(1966年/監督:セルジオ・コルブッチ)を再見。

インディアンの集落がダンカン(アルド・サンブレル)率いる無頼の盗賊に襲撃されます。ひとり生き残ったジョー(バート・レイノルズ)がダンカン一味を追跡。ダンカンに命じられた二人の手下がジョーを殺そうとしますが、ジョーに待伏せされて返り討ち。インディアンの頭皮を売りにバヨーテの町に来たダンカンは、法律が変って“インディアン殺し”で指名手配されており、逆上して保安官を射殺。酒場で飲んでいると、エスペランツァの町に列車で運ばれる大金を一緒に強奪しようと持ちかけられます。持ちかけたのは、エスペランツァの医者で銀行家の婿・リン(ピーター・クロス)。彼らの話を聞いて逃げ出した酒場女をジョーが助けます。ダンカン一味の列車襲撃は成功し、ダンカンは見張りの手下を残して、金庫を開けることができるリンとの待ち合わせの場所へ。暗闇にまぎれてダンカンの手下を倒したジョーは、列車をエスペランツァの町へ届けます。神父(フェルナンド・レイ)たち町の住民はダンカン一味の襲撃に恐れおののき、ジョーの出した条件でジョーを雇います。襲撃してきたダンカン一味をジョーは待伏せして、ダイナマイトとライフルで倒していきますが、親しくなった娘エステラ(ニコレッタ・マキャヴェリ)が人質にとられ……

セルジオ・コルブッチは、『続・荒野の用心棒』でアメリカ西部劇と異なるマカロニ独自の世界観を確立しましたが、大量の死者、殺しの描写、残酷性では『続・荒野の用心棒』を凌駕しています。マカロニの特質である残酷性と殺しあいをストレートに出していますが、本場でおなじみのメサやビュットのかたちだけが似た山を択んでスペインロケしたり、列車にウェルズ・ファーゴの文字をつけてアメリカ性を出そうとしているのは御愛嬌。♪~ナバホジョ、ナバホジョ~の音楽は、エンニオ・モリコーネね。

バート・レイノルズは、テレビ西部劇『ガンスモーク』に出演したのを皮切りに、『夜間捜査官ホーク』『警部ダン・オーガスト』とテレビシリーズに連続主演して名前が知られてはいましたが、ビッグネームになる前の作品。『荒野の用心棒』に出演したクリント・イーストウッドと同じ状況だったといえます。『さすらいのガンマン』があまりヒットしなかったこともあって、さっさとハリウッドに戻り、70年年代に野生的スターとしてブレークしたのは周知の通り。この作品でも野生的な魅力と、スタントマンを使わないアクションを見せてくれます。

主演のバート・レイノルズをさしおいて、ポスターはアルド・サンブレルのドでかアップ。サンブレルはスペインの役者で、マカロニだけでなく『最後のガンファイター』や『100挺のライフル』などのスペインロケした本場西部劇にも多々出演しています。主人公に最後に殺される一番手悪役はこの作品だけで、たいてい途中で殺されていますな。東映時代劇でいえば小田部通麿的存在。オープニングでインディアンの可愛い娘を殺して頭の皮を剥ぐという残虐ぶりを見せてくれて、それなりにガンバッテいますが、一番手悪役としての力不足は否めません。ジャン・マリア・ボロンテのような悪の凄みや、クラウス・キンスキーのような異常性が不足していますからね。悪のオーラがない弱さがありま〜す。