ミステリーのリメイクは

nostalji2009-05-21

録画していた『スルース』(2007年/監督:ケネス・ブラナー)を観る。『探偵スルース』(1972年/監督:ジョゼフ・L・マンキウィッツ)のリメイクです。『探偵スルース』は、ミステリマガジンが作家・評論家・翻訳家71人にアンケートしたミステリ映画ベスト10の1位になっている傑作で、初めて観た時は私もコロリと騙された映画でした。ロンドン郊外の邸宅を舞台に、ローレンス・オリビエとマイケル・ケインの会話(セリフの内容が濃く、グイグイ引き込まれる)だけで物語が進んで行き、アッというどんでん返しに堪能しましたね。
でもって、『スルース』ですが、前回オリビエの役をケインが演り、ケインの役をジュード・ロウが演る面白味はあるのですが、ネタバレしているので物語としての面白味が欠ける上、嫉妬と憎悪の渦巻く心理が前回と比べて直線的で全体的に陰気になったのが最大マイナス要因です。前回のゴシック調美術からモダンアートに舞台変更したり、ストーリーを二部構成から三部構成にしたりと、違いを出そうと工夫していますが、それだけではね。画像は、マイケル・ケイン。巧い役者ですが、嫌味がそのまま出て、オリビエの持つ深さにはまだ到達していないなァ。