結果はZ級

nostalji2017-10-23

邦画続きということで録画していた『太陽』(2016年/監督:入江悠)を観る。ウイルスで人口が激減し、進化した新人類が旧人類を抑圧する世界で、若者たちの葛藤を描いたSF映画です。
新人類はノクスと呼ばれ、心身ともに進化し高度な社会を構築していますが、太陽の下では生きられません。一方、キュリオと呼ばれる旧人類は太陽の下で自由に生きられるものの、ノクスとの境界は壁で遮断され、ノクスに管理され貧しい生活を送っているのね。ノクスは理性的で、キュリオは暴力的で感情に流されます。キュリオからノクスへの転換も可能なのですが、医学的に若年層に限定。
キュリオの村の若者・鉄彦(神木隆之介)は村の生活に行き詰まりを感じ、ノクスへの転換手術の抽選に応募。境界門衛の駐在員・富士太(古川雄輝)と鉄彦は仲良くなります。鉄彦の幼馴染の結(門脇麦)は、自分を捨てノクスに転換した母(森口瑤子)とノクスを憎しみながら生活していますが、父親(古舘寛治)が無断で結のノクスへの転換手術の抽選に応募。10年前に事件を起こして逃亡していた鉄彦の叔父(村上淳)が戻ってきて……
第19回読売演劇大賞でグランプリを受賞した舞台劇の映画化です。狭い空間の舞台だと観客の想像に委ねることになりますが、映画の広い空間では舞台劇と同じような演出では矛盾が目立ってしまいます。鉄彦の叔父は閉ざされた村からどうやって脱出し、どうやって戻ってきたのか。ノクスの昼間の活動はどうしているのか。鉄彦が作った粗雑な仮面で太陽光線が防げるなら、高度な知能を持つノクスに太陽防御服があるのが常識。とにかくツッコミどころが多すぎて、何じゃコリャです。舞台だと人間ドラマにだけ目を向ければ良いのですが、映画だと人間ドラマよりもSFの世界に目が向くので、陳腐に感じてしまいま〜す。