超能力アクションなので

録画していた『FREAKS フリークス 能力者たち』(2018年/監督:アダム・スタイン&ザック・リポフスキー)を観る。超能力が覚醒した少女と、それを巡る家族を描いたSFアクションです。

7歳の少女クロエ(レクシー・コルカー)は父親(エミール・ハーシュ)と隠れて生活しています。父子はフリークスと呼ばれる超能力者で、政府は人類の敵とみなして、彼らを抹殺しようとしているのね。ある日、父が眠っている隙に家を出たクロエは祖父(ブルース・ダーン)と出会います。外出を父に叱られたクロエは感情を高ぶらせたことで特殊能力を覚醒。クロエは人の心の中に入り込むことができ、操ることができます。テレパシーで母(アマンダ・クルー)が政府の特殊施設に監禁されていることを知ったクロエは母を救けようと考え……

父親は時間を止める能力を持っていて、起きている間は外の世界の時間を止めているんですな。家の中だけは時間が動いていて、外は母親が政府に拉致されてから数か月しか経っていないのに、家の中では数年経過しているという設定。そのことは、後半になってわかるんですけどね。サスペンスタッチの前半から後半はアクション全開。CGは安っぽいですが、可愛い中に怖さのあるレクシー・コルカーの演技に脱帽で~す。

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今週の放送映画

日曜日は、今週テレビで放映される映画をチェック。

本日は、BS日テレ:『トランスポーター2』

2日(月)は、日本テレビ:『ブラック・シー』、テレビ東京:『TAXI NY』、BSプレミアム:『スターリンの葬送協騒曲』『めぐり逢えたら』

3日(火)は、テレビ東京:『レッド・オクトーバーを追え!』、BSプレミアム:『ショーシャンクの空に』、BS-TBS:『007/ダイ・アナザー・デイ

4日(水)は、テレビ東京:『コレクター』、BSプレミアム:『ノッティングヒルの恋人

5日(木)は、テレビ東京:『インターセクション』、BSプレミアム:『アパートの鍵貸します

6日(金)は、日本テレビ:『ハリー・ポッターとアズガバンの囚人』、テレビ東京:『RED/レッド』、BSプレミアム:『荒野の決闘

7日(土)は、日本テレビ:『映画 怪物くん』、テレビ東京:『ワイルド・バレット』、BS-TBS:『NEXT-ネクスト-』、BSテレ東:『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』、BS12:『アトミック・ブロンド』が放映されます。

レッド・オクトーバーを追え!』は、ショーン・コネリー(90歳)氏の追悼になりますね。番組担当者は予感していたのか?

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画像は、『荒野の決闘』(1946年/監督:ジョン・フォード)のラストシーン。現在のように、DVDで気軽に観ることができなかった時代、名作は何回かリバイバル上映されていました。この作品は、62年と84年に再上映されており、私が観たのは62年の時。西部史上に名高いOKコラルの決闘の物語です。史実とかけ離れた内容ですが、詩情と哀愁にあふれた名作です。この作品には、バックミュージックが殆どありません。映像ショットが音楽のかわりをしています。ラストの荒野に続く一本道を去って行くワイアット・アープと、それを見送るクレメンタイン。奥行のある映像は絵のような美しさで~す。

片手間に読んでいた

日本文藝協会:編の『時代小説ザ・ベスト2020』(集英社文庫:2020年6月25日第1刷発行)を読了。2019年度発行の文芸誌に掲載された作品群から11の短編を精選収録したもの。

林真理子以外は知らない作家ばかりで、扱っている題材も変わっています。

奥山景布子の「太郎庵より」は、幕末の尾張徳川藩の女性隠密が主人公。尾張徳川藩は御三家筆頭のくせに先頭をきって幕府を見限った藩として有名。

林真理子の「仮装舞踏会」は、鹿鳴館で行われる仮装舞踏会に出席する西郷従道の心境を描いたもの。

村木嵐の「あかるの保元」は、15歳の内裏の雑仕女あかるの目を通して描いた保元の乱

箕輪諒の「宇都宮の尼将軍」は、戦国時代の宇都宮家を守り抜いた宇都宮広綱の未亡人・南呂院の物語。北条の侵攻に対して、佐竹・結城と同盟して対抗します。

佐々木功の「沈黙」は、妻ガラシャの死をきいた細川忠興の心境を描いたもの。父の藤孝を“一歩引いた男、危ない橋を避ける男”と批判しているのが面白いです。管領を務めた名門細川氏の養子でありながら、幕府運営の前面には出ず、義昭と信長の斡旋は光秀に任せ、義昭と信長の不仲が表面化すると一早く義昭の動きを信長に伝えて身の安全を図り、光秀と秀吉の対決には親友である光秀に組せず、隠居という逃げをうつ。忠興は愛する妻の父と戦う責任を押し付けられた格好ね。

矢野隆の「鴨」は、愛していた妾のお梅を新選組局長・芹沢鴨の愛人にされた菱屋太兵衛の心境を描いたもの。

植松三十里の「雪山越え」は、武田信玄の人質にされていた徳川家康の異父弟・松平康俊の逃走物語。

大塚卓嗣の「脱兎」は、信州に駐屯していた織田勢の森長可が、信長の死で反旗を翻した信濃国衆の囲みを破って領地へ帰り着くまでの物語。

川越宗一の「ゴスペル・トレイン」は、西南戦争で西郷軍び加わった佐土原島津家の島津啓次郎が城山で米国留学時のことを邂逅する物語。

青山文平の「剣士」は、居候の存在である老武士の死にざまを描いたもの。今回の短編集の中で、唯一モデルのない物語。

浮穴みみの「貸し女房始末」は、明治維新の札幌を舞台に、薄野遊郭誕生を背景にした物語。

視点を変えることで、時代小説の楽しみが深くなるような作品ばかりで~す。

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少し古いが

録画していた『アサルト13 要塞警察』(2005年/監督:ジャン・フランソワ・リシェ)を観る。大雪で孤立した警察署を舞台に警官と謎の武装集団との戦いを描いたアクション映画です。

激しい雪が降るデトロイトの大晦日、年内で閉鎖される13分署では巡査部長のローニック(イーサン・ホーク)が退職予定の老警官ジャスパー(ブライアン・デネフィー)や婦警のアイリス(ドレア・デ・マッテロ)と残務整理。そこへ雪で帰れなくなった精神科医のアレックス(マリア・ベロ)が加わり、新年を迎えることになります。しかし、吹雪のために刑務所に護送できなくなった凶悪犯のビショップ(ローレンス・フィッシュバーン)たち犯罪者を留置することになって……

ジョン・カーペンターの1976年の劇場未公開作品『要塞警察』のリメイクです。オリジナルはストリートギャングの集団相手に戦うだけの単純な作品でしたが、本作品はやたらと捻っていますね。ビショップたちを率いて武装集団と戦うことになる主人公は、命令の失敗で部下を死なせたというトラウマを抱えており、ビショップは悪党ながらも正義感を持っています。武装集団の正体は、ビショップに裁判で証言されたら困る悪徳警官たち。悪徳警官のボスが警察本部の警部で、演じているのがガブリエル・バーン。襲ってきたのが警官とすぐにわかり、黒幕が誰かすぐにわかるのは、捻りが足りませんけどね。それで、捻った割にはありきたりの作品になったというのが感想です。オリジナルにあった『リオ・ブラボー』へのオマージュもないし、普通のB級アクション映画にすぎませ~ん。

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古い作品だが

録画していた『ソルジャー』(1998年/監督:ポール・アンダーソン)を観る。誕生と同時に将来が決められていた近未来を舞台に、最強の戦士として育成された男が平和を愛する民を守って戦うSFアクションです。

人間兵器ソルジャーとして育成され、数々の戦果を挙げてきたトッド3465(カート・ラッセル)も古参兵となり、遺伝子操作によって開発された次世代ソルジャー・ケイン607(ジェイソン・スコット・リー)と闘って敗れます。ソルジャー司令官は、瀕死の重傷を負ったトッド3465を宇宙の果ての廃棄物投棄惑星へ放棄。そこは理想郷を求めた移民たちが平和に暮らす星で、住民にトッド3465は救出されます。住民たちと触れ合うことで、戦うことしか知らなかった彼に、親子の絆や友情といった人間らしい感情が発生。そんな時、かつて自分を倒したソルジャー軍団が訓練と称して住民たちに攻撃をしかけてきたことから……

カート・ラッセルが言葉少なにタフぶりを発揮しています。序盤の見せ場は次世代ソルジャーとロープの上で闘う格闘シーン。コテンパンにやられるのですが、それが学習効果となって後半の戦いで活きてきます。実戦の経験を活かした作戦で、ソルジャー軍団を1人1人倒していくのが後半の見せ場。いくら強力な肉体を持つソルジャー軍団でもマニュアルにない攻撃を受けると為すすべもなくやられるのが面白いところ。ラストは敵が乗ってきた宇宙船に住民を乗せて他の平和な星へ旅立ちます。満足できる予定調和型のB級作品で~す。

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西部劇マンガだったので

ブックオフの愛蔵本コーナーで見つけた堀江卓:著の『ガンキング』(マンガショップ:2011年1月1日第1刷発行)読了。『ガンキング』は月刊雑誌『少年』で1960年8月号~62年4月号に連載された西部劇マンガです。

主人公はガンキングと呼ばれる覆面をつけた正義のガンマン。背中に刺青をした無法者ペニーを捜しています。ガンキングの父はペニーを捕まえた保安官でしたが、ペニーを脱獄させた一味に殺され、ガンキングも谷に落とされ、死んだと見せかけて正体を隠し、ペニーを手がかり父の仇を追跡。エルパソの町では、毒トカゲという謎の怪人が暗躍し、毒トカゲ一味に襲われた女ガンマンをガンキングが救出。女ガンマンはエルパソ13号という政府の密偵で、テキサス独立党の動きを探っていたのね。行方不明の父を捜す少年が、毒トカゲ一味に襲われた政府の連絡員からエルパソ13号へ渡す書類を預かりますが、少年も毒トカゲ一味に襲われガンキングに救われます。

町のボスの鉱山から逃げ出した男によって、少年の父は鉱山で働かされていることがわかり、ペニーの背中の刺青が隠し銀山の地図だということが判明。町のボスがテキサス独立党の黒幕で、隠し銀山の資金で武器を買い、政府転覆を計画。ガンキングは父を殺した毒トカゲと町のボスを倒し、鉱山で無理やり働かされていた人たちを救います。その後、連邦保安官に任命されたガンキングは、インディアンにばけて悪事を働く悪党や、金山を奪って革命を起こそうとする紅グモ団を征伐。

堀江卓のマンガなので、機関銃みたいに拳銃を撃って撃って撃ちまくりますが、物語そのものはマカロニウエスタンにしたいくらいです。西部劇ブームがおこる度に、何人もの作家が西部劇マンガを発表していますが、定着することなくブーム終了とともにエンド。

西部劇ブームについてはココヘ⇒https://88231948.at.webry.info/202007/article_8.html

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西部劇だったので

ブックオフでゲットした中古DVD『トゥルー・リベンジ』(2010年/監督:ティラー・ラッセル)を観る。血ぬられた荒野をさすらう女ガンマンの復讐を描いた劇場未公開の西部劇です。

20世紀初頭のメキシコ、無法者のランサム(スコット・スピードマン)が武器密売のいざこざから殺されます。ランサムの恋人ジュリエット(リジー・カプラン)は、遺体をひきとりに行きますが、遺体を預かる呪術師マリア(コート・デ・パブロ)はランサムに弟を殺されたことから引き渡しを拒否。マリアはランサムの父親プライド(ドワイト・ヨーカム)を恨んでおり、ジュリエットにランサムの弟チャンプ(ジョン・フォスター)を連れてくるように要求。ジュリエットはテキサスに住むチャンプを言葉巧みに誘い出し、遺体を取り戻す旅に出ます。悪徳牧師のプライドは、かつてメキシコで一緒に悪業を働いた娼婦宿のシェパード(クリス・クリストファーソン)に頼んで凶悪な殺し屋を雇い、二人を追跡。ジュリエットとチャンプは、アル中の元軍人、2挺のショットガンをあやつる小人、ヤミ医の双生児といった連中との出会いを経て、再度マリアと対峙しますが……

セピアカラーで荒寥感をだし、モノクロによるフラッシュバックでスタイリッシュな映像を狙っていますが、気取っているだけで効果をあげていません。主人公の女ガンマンは颯爽としたところがなく、物語もゴチャゴチャした展開で退屈なだけ。ペキンパー&タランティーノテイストなんて、どこにもありゃしません。

私が西部劇を好きになったのは、面白く楽しかったからです。青空のもとに果てしなく広がる荒野、その中にそれこそ点とも見えないほど小さくたたずむ男。自然はあまりにも広大であり、余りにも厳しく、人間に容赦しない。日本では考えられない世界で展開する物語に興奮したからです。最近はチマチマした西部劇ばかりで、ましてやカナダで作った西部劇が面白いわけないで~す。

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