泥棒映画なので

録画していた『Mr.&Ms.スティーラー』(2019年/監督:マット・アセルトン)を観る。凄腕の美術品泥棒と美貌を武器に詐欺を働く女が手を組んで、一世一代の大仕事に挑むクライムアクションです。

アイヴァン(テオ・ジェームズ)は組織のボス(フレッド・メラメッド)からの依頼で盗みをしていましたが、組織から抜けたいと考えています。そんなある日、標的の美術品が置かれた豪邸のパーティーに潜入したアイヴァンは、美女のエリス(エミリー・ラタコウスキー)と遭遇。エリスは女優でしたが芽が出ず、借金を返すために美貌を武器にパーティー客相手に詐欺を働いていました。仕事先で何度か出会ううち、互いの素性を知った二人は人生の逆転をかけて手を組みますが……

盗みのテクニックも詐欺のテクニックも平凡で、泥棒映画としては今イチ。暴力的なボスとの対決もサスペンスが不足。テオ・ジェームズとエミリー・ラタコウスキーはスタイリッシュで悪くなかったんですけどねェ。

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好きな役者なので

録画していた『グッドライアー 偽りのゲーム』(2019年/監督:ビル・コンドン)を観る。老詐欺師と資産家の老婦人との偽りの恋と騙しを描いたミステリーです。

夫を亡くしたばかりの高齢の資産家ベティ(ヘレン・ミレン)は、出会い系サイトでロイ(イアン・マッケラン)と知りあいます。上品な紳士で、正直者のロイとすぐに打ち解けたベティですが、ロイは名うての詐欺師で、ベティの全財産を奪おうと計画。ベティの孫スティーブン(ラッセル・トヴェイ)がロイの身許を調査しますが……

なにしろヘレン・ミレンなので、騙されたフリをしているのは予想がつき、彼女の目的が何なのかが興味の焦点。途中にいくつか伏線はありますが、最後になって気づかされます。ミレンとマッケランが一緒に観ていた映画『イングロリアス・バスターズ』も伏線だったとはなァ。

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海外ドラマから

録画していた『ハワイ5-O(ファイブオー)』と『探偵マグナム』のクロスオーバー・エピソードを観る。

『ハワイ5-O』の主人公マクギャレットの宿敵だったウォーハットの妻・ダイユ・メイが夫の復讐のためにハワイにきて殺人事件を起こし、ダイユ・メイの手下を追っていたマクギャレットにマグナムから手下2人がホテルで人質をとっているという知らせが入ります。マグナムはダニエル・ホンという男の浮気調査をしていたのですが、ホンは殺され手下2人は逃走。マクギャレットとマグナムは共同捜査を開始。ホンは中国のスパイで、世界中にいるスパイのリストを暗号化し、SDに情報を移していました。そのSDをダイユ・メイが狙っており、ダイユ・メイは逃がしますがマクギャレットはメイの一味を壊滅。しかし、5-O(ファイブオー)メンバーのジュニアが何者かに拉致され……

SDを手に入れようとするCIAは、タニーとクインを除いてマクギャレットたち5-O(ファイブオー)メンバーを拘束。ジュニアを拉致した一味から、ジュニアの恋人タニーにSDを渡すように連絡が入ります。CIAに追われながらタニーとクインはマグナムに助けを求め、マグナムと仲間たちが活動を開始。マクギャレットが所持しているSDを探し出し、暗号解読して世界中にいるスパイに正体がバレたことを知らせようとしますが、データーが全て消えてしまいます。一味の黒幕がホンの妻だとわかり、ジュニアを無事救出。

2回にわたるエピソードで、前半は『ハワイ5-O(ファイブオー)』の第10シーズン(ファイナル)の12話、後半は『探偵マグナム』の第2シーズンの12話で放送。本国では同時期に放送されているので、タイムラグが発生しないのですが、日本では『探偵マグナム』の第2シーズンは放送されておらず、このエピソードだけが先行放送されました。ちなみに、『探偵マグナム』の第2シーズンは、AXNで4月19日より放送開始予定。

色々なテレビシリーズでクロスオーバー・エピソードが作られているのですが、日本ではタイムラグが往々にして発生しており、困ったもので~す。

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犬が好きで

録画していた『野生の呼び声』(2020年/監督:クリス・サンダース)を観る。ジャック・ロンドンの古典的冒険小説の映画化です。

裕福な家のペットだった大型犬のパックは、誘拐されてカナダでそり犬にされ、ユーコン州で犬ぞり郵便のそり犬として働きます。そして、犬ぞり郵便のリーダー犬に成長しますが、犬ぞり郵便は廃止。バックは転売され、金鉱を探しているハル(ダン・スティーブンス)に酷使されます。孤高の男ソーントン(ハリソン・フォード)は、そんなバックを助け出し、未開の地へ。そこで、森林狼の群れと知り合ったバックは、内なる野生に目覚めていきます。

19世紀末のアラスカが舞台なので時代的には西部劇。だけど、ハリソン・フォードでなく、犬が中心のアクション。それにしても、犬の表情が素晴らしいです。CGアニメーションのレベルが上がり、人間との関係を繊細に描写できています。かつて、『狼王ロボ』など動物実写映画を得意としていた、いかにもディズニーといった作品で~す。

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週に1度は西部劇

友人に送ってもらった『ノース・スター』(1996年/監督:ニルズ・コープ)を観る。インディアンの血をひく若者が、インディアンの聖地を狙う悪徳鉱業家と戦うアラスカ西部劇です。

1899年のアラスカのノーム、鉱業組合長マクレノン(ジェームズ・カーン)は金鉱の持ち主を殺しては採掘権を手に入れています。彼が次に狙いをつけたのがノース・スターと呼ばれるイヌイットの聖地。インディアンの末裔サンティーク(クリストファー・ランバート)は、聖地を破壊から守っていましたが、マクレノンの配下に襲われ、採掘権を奪われます。サンティークはマクレノンの陰謀を暴くために町にやってきますが、マクレノン一味に取り囲まれ、マクレノンの愛人セーラ(キャサリン・マコーマック)を人質にして雪原へ逃亡。サンティークとの触れ合いの中で、セーラは真相を知りますが……

途中でどこかで観た作品だと思っていたら、『フリーズ 地獄の相続人』だったことを思い出しました。ランバートは逃げまわってばかりいてカッコ悪いし、ジェームズ・カーンは目ン玉むくだけの臭い芝居。アラスカを舞台にした壮絶なアクションを期待していたんだよなァ。一応最後まで再見。ガッカリ感も再現で~す。

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たまには読書

風野真知雄:著の『西郷盗撮』(角川文庫:2014年11月25日初版発行)を読了。剣豪写真師・志村悠之介が活躍するシリーズ第1作です。

主人公は北辰一刀流の達人ですが、剣を捨て写真師になった元幕臣・志村悠之介。勝海舟が写真館のウインドウに飾ってあった写真を見て驚くところから物語は始まります。それより20年前、悠之介は警視総監の川路利良から下野して鹿児島に帰った西郷隆盛の写真を撮るように密命を受け、仕込み刀と小型写真機を携えて鹿児島に潜入。西郷の写真を撮ろうとしている美しい女写真師や洋行帰りの写真師と知りあいます。悠之介より先に潜入していた写真師は何者かに殺されており、悠之介も何者かに襲われます。西郷の側近・桐野利秋とひょんなことで知りあった悠之介は、西郷に接近しますが……

“妻はくノ一”や“耳袋秘帖”などシリーズ物の多い著者の最初のシリーズです。悠之介に西郷盗撮を依頼した川路利良は偽者で、西郷の写真をめぐって謎と陰謀が交錯する歴史ミステリーになっています。好きなジャンルなので、続きを読むことにしま~す。

 

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最後に

録画していた『日本侠客伝・刃(ドス)』(1971年/監督:小沢茂弘)を観る。明治中期の金沢を舞台に政治の民主化を訴える代議士を守って戦う男を描いたシリーズ最終作の任侠映画です。

母の郷里である金沢にやって来た松吉(高倉健)は、空腹で行き倒れになるところを芳恵(十朱幸代)に救われます。彼女を一生の恩人と思い、松吉は黒兵衛(辰巳柳太郎)の経営する馬車会社に就職。渡世人の御家政(池辺良)や、黒兵衛の主人筋で民主化運動をしている青山(大木実)と知りあいます。ヤクザあがりの本堂(渡辺文雄)は、右翼団体の救国社を率いて青山と敵対。本堂は芳恵の弟を使って青山を殺そうとしますが、松吉が芳恵の弟を本堂から助け出して金沢を去ります。4年後、第2回総選挙を迎えて金沢では代議士の青山と救国社の対立が激化。芳恵は青山の妻になっており、渡世人となって帰ってきた松吉は陰ながら芳恵を見守ります。しかし、青山を手伝っていた黒兵衛が殺され、青山も襲われたことから松吉は……

仕事仲間(玉川良一・山本麟一・汐路章)とのやりとりや、威勢の良さを発揮する前半部分の健さんは“網走番外地”で、十朱幸代にもらって大事にしていた装束で殴り込みを決意し、渡世の義理で本堂についていた池辺良が、本堂のやり方に嫌気がさし、健さんに味方する後半部分の健さんは“昭和残侠伝”ね。小沢茂弘の演出は、マキノ雅広のような情感はありませんが、健さんの二大魅力の集大成といった感じで、シリーズの最後にふさわしい作品で~す。

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