テレビ映画監督一代記

nostalji2005-10-09

奥中惇夫:著の『仮面ライダーがエントツの上に立った日』(筑摩書房:2004年4月22日初版発行)を読了。副題に“テレビ映画監督一代記”とあるように、テレビ発達期のテレビ映画製作現場で仕事をしてきた著者だけが描きうる迫力があります。「鉄道公安36号」、「特別機動捜査隊」、「柔道一直線」は、よく見ていた番組なので製作裏話は楽しめましたね。“怪獣もの”、“変身もの”という呼び名が、いつのまにか“キャラクターもの”に変わっていったのは、知らなかったなァ。“キャラクターもの”と呼び始めたのは、『がんばれ!ロボコン』かららしいのだけど、確かに怪獣も出てこなければ変身もしないや。『がんばれ!ロボコン』は日曜日の朝に放送されていて、長男と見ていた記憶があるんですけど、巻末の番組リストを見ると1974年〜75年放送となっていて、まだ長男が生まれていないんだよなァ?
録画していた『沓掛時次郎』(1929年・日活/監督:辻吉朗)を観る。“沓掛時次郎”の最初の映画化。戯曲をシナリオ化したためか字幕が多くスピード感に欠けますが、情感あふれる作品になっています。辻吉朗の演出は妙にリアルで、旅ぐらしの哀歓と無常観がよく出ていました。路銀を稼ぐために、時次郎(大河内伝次郎)とおきぬ(酒井米子)が流しをするのはどの作品にも出てきますが、三味線が行き倒れになった鳥越からの頂き物とは知りませんでした。あんな窮乏状態では、三味線なんか買う金はありませんからねェ。劇中に流れる「沓掛小唄」は、この映画の主題歌なんですが、封切前に発売されたそうで当時は劇場でレコードをかけていたのかなァ?