これも現代西部劇

nostalji2007-05-27

ビデオで『地獄の天使』(1967年/監督:T・C・フランク)を観る。流れ者の青年ビリー・ジャック(トム・ローリン)が、町を支配するヘルズ・エンゼルと戦う物語で、馬をオートバイに置き換えただけで、構造は西部劇です。当時、アメリカの社会問題として賑わしていた暴走族(ヘルズ・エンゼル)を扱った作品で、公開時はキワモノ作品(脚本・主演女優のエリザベス・ジェームズの実話)的扱いでしたが、現在の視点で見るとハリウッドの定型化した映画文法を破壊し、映画本来のなまなましいリアリズムを打ち出したアメリカン・ニューシネマ映画といえます。製作費40万ドル、オール・ロケという低予算映画で、素人に近い俳優による演技は安っぽい感じを受けますが、逆にそれが野性味あふれた独特の作品になっているんですね。しかし、何といっても『地獄の天使』の面白さは、トム・ローリン扮するビリー・ジャックのカッコよさにつきます。関わりを恐れて連帯しない市民や、事なかれ主義の警察に代って、インディアンと白人の混血であるビリーが、ただ一人ヘルズ・エンゼルに立ち向かうんです。彼らのボスの眉間をブチ抜くハードなラストは一見の価値がありますよ。 ビリー・ジャックはカルトなファンの間で人気を呼び、シリーズ化されます。中でも、『明日の壁をぶち破れ』は傑作ですよォ。
画像は、エリザベス・ジェームズ。こんな格好でオートバイに乗っていたら、ヘルズ・エンゼルに襲われても仕方ないと思いますね。
HP:西部劇シネマ館の「現代西部劇」に追加アップ⇒http://www2u.biglobe.ne.jp/~kazu60/gendai/gendai3.htm