季節的には少し早いけど

nostalji2008-06-10

録画していた怪談映画『牡丹燈籠』(1968年・大映/監督:山本薩夫)を観る。“四谷怪談”のお岩さんや“累ヶ淵”の豊志賀と比べると、お露さんは“皿屋敷”のお菊さんと並んで美形なので怖くありません。山本薩夫は“おどろおどろしさ”を排除して、エロティシズムに溢れた幽玄的な世界を描いていますね。カランコロンと響くゲタの音で幽霊表現するのでなく、空中を滑るように並行移動する映像で幽霊表現しているところは見事です。
『牡丹燈籠』は18本映画化されていますが、私が観ているのは3本だけ。だけど、この作品は怪談映画としては上出来だと思います。怨でなく、愛する男への女の情念が全面にうちだされ、これまでにない怪談映画でした。
画像は、赤座美代子(お露)と新三郎(本郷功次郎