映画って本当にいいですよ

nostalji2008-06-12

映画評論家の水野晴郎さんが亡くなる。享年76歳。水野さんの場合、評論家というより案内人ですね。どんな映画でも、「いいもんです」からね。昨年1月に日本橋図書館の『駅馬車』上映会でお目にかかったのが最後でしたが、少し顔がむくんでいてテレビで見るより老け込んでいる印象を受けました。それでも、話し始めると水野節は健在でしたよ。映画が好きで、もう止まらないという感じでね。あのひたむきさが水野さんの魅力でしたね。
水野晴郎シネマ館”と銘打って発売されたカバヤ食玩DVD(『キリマンジェロの雪』、『ふたりの女』、『マクリン・トック』、『愛のアルバム』、『片目のジャック』、『アンナ・カレニナ』、『バリ島珍道中』、『キング・ソロモン』、『古城の亡霊』、『黄金の腕』の全10作品)がありました。画像の修正処理がされておらず映像的には問題のあるDVDでしたが、価格が300円と激安だったのは多くの人に映画を提供したいという水野さんの気持ちだったのでしょう。
画像は、水野晴郎:著の『映画のわかる本』(広済堂:1976年8月31日初版発行)です。水野さんは『史上最大の作戦』や『夕陽のガンマン』などの邦題の名づけ親ですが、この本の中でも邦題作りについて語っています。『チキ・チキ・バン・バン』は、原題の車の走る音を英語で表現した「チティ・チティ・バン・バン」を日本人の語感にあわせて変更したとのこと。『地底探険』は「探検」と「冒険」をミックスして“探険”に、『007危機一発』は武器が刀でなく銃なので“一髪”でなく“一発”にしたそうです。『真夜中のカーボーイ』は“カウボーイ”が本当なのですが、車のリズム感を出すために、あえて“カーボーイ”したとのことで、原題をそのまま邦題にするのでなく、映画を観てもらうための工夫がされていますね。素晴しき映画案内人に合掌。