癒し系時代劇

nostalji2009-08-06

録画していた『山桜』(2008年・東京テアトル/監督:篠原哲雄)を観る。藤沢周平の短編小説が原作で、お馴染みの東北・海山藩が舞台になっています。四季の美しさの中で、秘めたる情愛を描いた癒し系時代劇になっています。ドラマチックな盛り上がりを作らず、淡々とした展開は監督の意図したものなのでしょうが、物足らなさを感じますね。何か一工夫あってもよかったような気がします。
主人公(田中麗奈)は最初の夫と死別して再婚しているのですが、嫁ぎ先は金貸しをしている吝嗇武家で暗い毎日を送っています。墓参の帰りに、以前に主人公と結婚の話があった武士(東山紀之)と出会います。それ以来、彼の姿が心の片隅に残るようになるんですな。でもって、何やかやあって離縁となり実家に戻ってきます。そして、東山の母親(富司純子)と親しくなり、東山と結ばれるような暗示でもってエンド。
農民の困窮を省みず、藩の財政を私物化する重役(村井国男)の行動を見過ごすことができず、ついに刀を抜く寡黙な武士を東山紀之が好演しています。東山は立回りが上手く華があり、時代劇が似合う役者だと思っているのですが、彼を活かす時代劇をもっと作って欲しいですねェ。