いいとこ取りしても

nostalji2010-05-04

録画していた『次郎長三国志』(2008年/監督:マキノ雅彦)を観る。これまでにも何度か映画化・テレビドラマ化されている作品で、次郎長モノの定番といってもいいですね。マキノ雅彦監督の伯父にあたるマキノ雅弘監督が1952年〜54年に東宝で作った傑作『次郎長三国志』9部作のうち7部までを下敷きにしていますが、10時間以上の大長編を2時間に短縮することは無理があります。前作の名シーンをピックアップしていっても、散発になるだけで印象に残らないんですね。例えば、子分たちが歌う♪〜俺が死んだらよ〜の歌声も繰り返し聞くことによって味わい深いものになるのですが、単発で使われてもね。
それと、最大の失敗はキャスティングです。岸辺一徳温水洋一笹野高史近藤芳正といった子分連中じゃ、とても喧嘩が強いとは思えないでしょう。それに齢をくいすぎているしね。個性的な傍役であっても、一本気で単純なヤクザは無理があります。この連中を使うならパロディにすべきです。それと、次郎長(中井貴一)が目立ちすぎること。前作が傑作となったのは森繁や田崎潤田中春男といった子分連中の面白さで、次郎長(小堀明男)は狂言まわし的な人物だったことですからね。マキノ雅弘東映でリメイク(3部作)しているのですが、その時は次郎長が鶴田浩二だったために、前作ほどの面白さはありませんでした。部分的には面白い演出はあるのですが、全体的には失敗作で〜す。画像は、次郎長の中井貴一