役者は揃っていたが

nostalji2011-09-30

ビデオに録画保存していた『国士無双』(1986年/監督:保坂延彦)を観る。1932年に製作された伊丹万作の傑作時代劇のリメイクです。食い詰めた浪人二人(火野正平岡本信人)が、将軍家指南役の伊勢伊勢守(フランキー堺)の行列を見て、ニセの伊勢守(中井貴一)を仕立て、旅籠で豪遊してツケを本物にまわすんですな。自分を利用する二人と別れたニセ伊勢守(本人はこの名前が気に入り、ニセ物と考えていない)は、道場破りの浪人(中村嘉津男)と知り合い、道場破りをするんですが、名前に怖気ついた相手はお金でかたをつけます。雲助に襲われている伊勢守の娘・八重(原田美枝子)を救い、八重に惹かれたニセ物は本物と対面し、怒った本物と立会いますが、何となく勝ってしまいます。恥じた本物は修行に出かけ、その間、ニセ物は身投げの娘・お初(原日出子)を救ったり、ヤクザの女親分(江波杏子)の助っ人をしたりして、女性たちに慕われます。仙人(笠智衆)のもとで修行していた本物は仙人を破り、自信を持ってニセ物の再び対戦。結果は前と同じで、ニセ物と八重は固く結ばれてエンドね。
題名は当時マージャンが流行しており、滅多に起こらない出来事という意味合いで、伊丹万作が付けたとのこと。当時として革新的で、時代風刺したナンセンスにより、万作の才気あふれたコメディ時代劇と評価されています。オリジナルは観ていないのですが、オリジナルを忠実に再現しようとしている気はしますね。ゆったりしたテンポやセリフ(オリジナルは無声なので字幕を利用か?)は、戦前のものです。ただ、そのままリメイクしても面白いものにはなりませんね。巧い役者が揃っていたので、それなり笑えましたが、時代とマッチした演出が必要で〜す。