不毛な争い

nostalji2013-01-08

録画していた西部劇『宿敵・因縁のハットフィールド&マッコイ』を観る。エミー賞で計5部門受賞し、全米ケーブル局史上最高視聴率を獲得した話題作です。実話を基に、ヒストリーチャンネルが製作したドラマですが実にリアルなんですよ。
ハットフィールド一族とマッコイ一族はタグ川を挟んでハットフィールドはウエスバージニア州、マッコイはケンタッキー州に暮らしている隣人同士。一族を率いるアンス・ハットフィールド(ケビン・コスナー)とランドール・マッコイ(ビル・パクストン)は南北戦争で南軍に所属して北軍と戦っていましたが、アンスが家族のために生きるといって軍隊を抜け出し、そのまま残ったランドールが北軍の捕虜となったことから、二人の間にしこりが生じます。
アンスの叔父のジム・ヴァンス(トム・ベレンジャー)が北軍に従軍していたランドールの弟ハーモンを日頃の憎しみから殺しますが証拠がなくて捕まらず、マッコイの一族ペリー・クラインがハットフィールドの所持する森林の伐採権を奪おうとしたりして、ハットフィールドとマッコイの間にわだかまりが増していくのね。
ランドールの豚が盗まれ、犯人としてハットフィールド一族のハロルドが捕まりますが、ウエスバージニア州の裁判でハットフィールド一族のステイトンの証言により無罪となったことから、ステイトンがマッコイ一族のサムとパリスに殺されます。サムとパリスは捕まりますが、ケンタッキー州の裁判で正当防衛が認められ釈放されるんですな。両家の争いが泥沼化していくのは、それぞれが異なった州に属していたこともあげられます。
両家が憎しみあっている中、アンスの息子ジョンシーとランドールの娘ロザンナが恋をし、ロザンナが妊娠します。二人は結婚するつもりでしたが、当然、親兄弟は許しませんわな。ランドールの3人の息子がジョンシーを拉致し殺そうとしますが、ロザンナの報せで駆けつけたアンスたちに3人は手酷い目にあいます。腹の虫のおさまらない3人はアンスの弟エリソンを惨殺してハットフィールド一族に捕まり、ケンタッキー州の法律が及ばないウエスバージニア州で私刑されます。息子を殺されたランドールはハットフィールド一族に賞金をかけて報復開始。フランク・フィリップスなどの賞金稼ぎが次々にやってきたことから、ハットフィールド一家は山の中へ住居を移します。ハットフィールド家は樵の一族で、山の地理に詳しく敵を迎え討つためね。
一方、ロザンナはマッコイ家から出され、叔母の家で子どもを産みますが赤ん坊はすぐに死んでしまいます。ジョンシーはロザンナを忘れることが出来なかったのですが、ジム・ヴァンスへの復讐のために近づいてきたハーモンの娘ナンシーと関係を持ち、結婚してしまうのね。ジム・ヴァンスはハットフィールド一族の行動隊長のような男で、一族を率いてランドールの家を焼き討ちするんですよ。その時、家から逃げ出したランドールの娘をエリソンの精薄な息子が撃ち殺したことから、彼らに逮捕状が出ます。ジョンシーからジム・ヴァンスの居所を聞き出したナンシーは、追跡隊長となったフランク・フィリップスに教え、ヴァンスはフランクたちに殺されます。ジョンシーはナンシーと離婚し、ロザンナも病死したことからオレゴンへ去り、逮捕されたハットフィールド一族はエリソンの息子が死刑、他の者は終身刑となって抗争は決着します。
両家の間には利害損得に係る複雑な事情があったようですが、ドラマでは両家の暴力行為による憎しみあいを中心においています。トム・ベレンジャーが、その象徴となるジム・ヴァンスを見事に演じていました。すぐに頭に血がのぼる連中が抗争を大きくしたという描き方で、日本人には何であそこまで憎しみあうのか理解に苦しむところです。それにしても、このドラマをみると、現在でも銃規制ができないアメリカの病根を感じますね。銃で家族を守るのが、両家の正義といった感じですからねェ。