悪役の魅力

nostalji2013-02-28

録画したままだった『忍者狩り』(1964年・東映/監督:山内鉄也)を観る。豊臣恩顧の外様藩の取潰しをもくろむ老中・久世大和守(安部徹)は、家督相続を願い出た蒲生家を取潰すために甲賀忍者・闇の蔵人(天津敏)に将軍からの家督相続承認御墨付きを奪うように命じます。かつて、闇の蔵人によって主家を取り潰れた和田倉五郎左衛門(近衛十四郎)、永長八右衛門(佐藤慶)、筧新蔵(山城新伍)、天野弥次郎(河原崎長一郎)の4人が蒲生家家老・会沢土佐(田村高広)に雇われるんですな。闇の蔵人の狙いを見事に外し、御墨付きを守ることに成功しますが、病気だった藩主が死亡し家督相続した幼君(藤山直子)の命が狙われます。和田倉と闇の蔵人との最後の戦いが……
ビッグスターは出演しておらず、山内鉄也は監督デビューでモノクロ作品。大川橋蔵の『大喧嘩』との併映でB級扱いの作品でしたが、内容は優れものです。城側と忍者の攻防が最後までダレルことなく緊張感をもって描かれ、近衛十四郎と天津敏のハードな演技が観ている者を釘づけにしますな。山城新伍の最期など部分的には突っ込みどころはありますが、よくできた脚本(高田宏治)で暗殺者としての忍者を描いた作品ではこれがベストでしょう。天津敏の不気味さも最高。