インディアン迫害関連で

nostalji2013-04-04

西部劇ビデオの『ソルジャーブルー』(1970年/監督:ラルフ・ネルソン)を観る。西部劇の中で正義の象徴であった騎兵隊の残虐性を暴いた作品で、最後の15分の描写が評判になりました。主人公はシャイアン族に捕まって2年間暮らした女性クレスタ(キャンディス・バーゲン)ね。彼女はインディアンと暮らしても白人が言うように野蛮とも残忍とも思っておらず、偏見にとらわれない自由な考え方の持ち主です。
部落を去って、婚約者が待つ砦に行く途中、彼女を護送していた騎兵小隊がシャイアンに襲われ、生き残ったのは彼女とホーナス(ピーター・ストラウス)という若い兵士の二人だけ。でもって、砦にむけて二人の旅が始まるのね。ホーナスはインディアンに対して偏見を持っており、二人の意見はことごとく対立します。何にもわかっていないホーナスはクレスタの忠告をきかず、ピンチを招いてばかり。武器商人のイサック(ドナルド・プレザンス)に出会い、インディアンに売る銃をホーナスが発見して燃やしてしまったことから、イサックにホーナスは脚を撃たれ、追われる羽目になります。それでも何とかコロラド11騎兵連隊のキャンプにたどり着いた二人は、司令官のアイバーソン大佐(ジョン・アンダーソン)が協定を破ってシャイアンの部落を襲撃しようしている計画を知り、クレスタは酋長(ジョージ・リベロ)に報せますが……
父がカスターと運命を共にしてホーナスがインディアンを憎んでいたという設定は時代背景的にはおかしいのですが、ラストの虐殺シーンはシビングトン大佐の率いるコロラド義勇軍がサンドクリークでシャイアン族を虐殺した事件をモデルにしています。無抵抗な女・子供の乳房をえぐりとったり、首を叩き斬ったりといった残虐シーンが展開するラストの15分について評価が分かれますね。当時話題となっていたベトナム・ソンミ村での米軍の虐殺事件を西部劇におきかえてセンセーショナルに見せただけなのか、ネルソンのストレートな怒りの表現なのか、私としても判断つきかねます。製作当時の社会背景を抜きにしてみた場合、クレスタとホーナスの道中におけるユーモラスな牧歌的な雰囲気が残酷シーンによって映画としてのバランスが崩れたことは確かで〜す。
画像は、バフィー・セントメリーが歌う『ソルジャーブルー』のレコードジャケット。「彼女の独特な声は、これから始まる凄惨な物語を予告するように、もの悲しく、切々たる叫びとなっています」(宮内鎮雄