インディアン関連で

nostalji2013-04-05

西部劇DVDの『夕陽に向って走れ』(1969年/監督:エイブラハム・ポロンスキー)を観る。最愛のローラ(キャサリン・ロス)と結婚するために、インディアン保護区に戻ってきたウイリー・ボーイ(ロバート・ブレーク)は、娘の結婚に反対するローラの父親を誤って殺してしまいます。二人は山中に逃亡し、保護区監督官のリズ(スーザン・クラーク)の要請で保安官補のクーパー(ロバート・レッドフォード)が追跡しますが足跡を見失い、ウィルソン保安官(チャールズ・マッグロー)に命じられていた遊説中の大統領護衛のために町に戻ります。追跡隊はインディアン狩りで名をはせたキャルバート(バリー・サリバン)が引き継ぎ、二人を追いつめるんですな。ウイリーは追跡隊の馬を狙って発砲するんですが、銃弾は偶然にもキャルバートに命中し、恐慌をおこした追跡隊はウィルソン保安官に救援を求めます。このことが大統領への取材にきていた新聞記者に誤って伝えられ、インディアンの反乱といった誤報が全米に流れるのね。追跡隊に復帰したクーパーは二人を追い、発見されたのが自殺か他殺か分からないローラの死体。そしてウイリーを追いつめたクーパーはウイリーを射殺しますが、彼の銃には弾丸がこめられていませんでした。むなしい逃亡、むなしい追跡、クーパーはウイリーを火葬にします。到着したウィルソン保安官が「これでは、世間に見せるものがない」と言って怒りますが、クーパーは「土産物は品切れだ」と、冷たく平然と言い放ちます。
無益な逃亡と、何の意味もなく散っていた命、それにアメリカの素顔をさらけ出した社会批判もまじえて、まさにニューシネマらしい内容です。ポロンスキーは赤狩りによってハリウッドを追われ、20年振りにメガホンをとった作品ですが、追われる者の立場からの単純な告発になっていないのが凄いですね。この作品をポロンスキーは、「インディアンを描いたものでない。私自身を描いたものである」と語っていますが、逃亡場面の切々たる演出は見事で〜す。
画像は、ロバート・ブレークとキャサリン・ロス