読んでいるはずだが

nostalji2016-11-04

録画していた『双生児GEMINI』(1999年/監督:塚本晋也)を観る。原作は江戸川乱歩の短編。
明治末期、大徳寺医院の雪雄(本木雅弘)は昔の記憶を失っている妻りん(りょう)を娶り、地位も名誉も得た順風満帆な生活をおくっています。しかし、父(筒井康隆)と母(藤村志保)が不可解な死をとげ、自分も自分とそっくりな男(本木雅弘の二役)に古井戸へ閉じ込められるのね。その男は、みにくい痣があったので赤ん坊の時に川に捨てられた双子の弟でした。乞食の角兵衛(麿赤兒)に拾われ、捨吉と名付けられて貧民窟で育ちます。りんと捨吉は貧民窟で愛しあっていましたが、捨吉が仲間(浅野忠信)を殺して逃亡したことから、彼そっくりの雪雄と出会い、記憶喪失を装って結婚。逃亡中に雪雄を目撃した捨吉は、自分の生い立ちを知り、両親への積年の怨みをはらし、裕福な生活を手に入れるために雪雄になりすましますが……
出演者全員が眉なしメイクで乱歩の持つ異常世界を具現化しています。貧民窟の極彩色豊かな衣装も不気味感を出し、塚本晋也の表現力はハンパじゃありません。凶暴な弟が兄になりすますことで精神が穏やかになっていき、逆に古井戸に閉じこめられた兄が凶暴になり、捨吉が雪雄になり、雪雄が捨吉になるんですな。二人の精神が融合してラストとなるんですが、本木雅弘が好演しています。映画初出演のりょうも、二重性格ぶりを見せてグッド。原作を読んでいるはずなんですが、記憶がありませ〜ん。