B級西部劇から

西部劇DVDの『殴り込み牧場』(1945年/監督:ランバートヒルヤー)を観る。45年の作品ですが、日本では58年に二本立て併映用に43分の短縮版で公開されました。牧場を手に入れようとする悪党と戦う物語。
父の手紙で故郷へ帰ってきたルー・レミントン(ロッド・キャメロン)は途中で殺し屋に襲われます。レミントン家とランドル家は対立しており、ランドル家のボブ(エディー・デュー)は片想いのエレン(ジェニファー・ホルト)を巡ってルーを敵視。町の権力者ヘンドリック(ユージン・ステュテンロス)はボブをたきつけてレミントン家との対立を煽る一方、牧場経営が苦しくなったルーの父に牧場買取りを執拗に迫ります。ヘンドリックの態度に不審を持ったルーは、インチキ薬屋のピート(フジー・ナイト)が薬に使った水から、牧場に石油が出ることを発見。ヘンドリックの目的は石油だったのね。ルーは誤解の解けたボブの協力を得て、ヘンドリックと対決。
コメディリリーフや華をそえる美女、喧嘩と友情を盛り込んだ典型的なB級西部劇で~す。

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久々の韓国時代劇

BSプレミアムで先々週から韓国時代劇『不滅の恋人』が始まった。去年の9月に『逆賊-民の英雄ホン・ギルドン』を観終えて以来なので半年ぶりとなります。
お話は、朝鮮王朝時代。国王は身体が弱く、次男のイ・ガン(チュ・サンウク)は野心家で傲慢な男ですが、三男のイ・フィ(ユン・シユン)は心優しい男。イ・ガンは誰からも愛されるイ・フィを妬んでおり、国王の死後、伯父と結託して王位を狙うだけでなく、イ・フィの恋人であるチャヒョン(チン・セヨン)も自分のものにしようとします。イ・フィは愛するチャヒョンと王位継承者である幼い甥を守ってイ・ガンと戦うことになるのね。善悪がはっきりしていて、それに三角関係が絡むという韓国時代劇の典型的フォーマットです。
15世紀に実在した首陽(スヤン)大君と弟・安定(アンピョン)大君の対立をモチーフにしていますが、史実と異なり勝利するのは弟イ・フィでしょうね。ファクションなのでハッピーエンド優先で~す。

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2007年に観た『海神(ヘシン)』で韓国時代劇に嵌り、放送されるものを片っ端から観ていきました。事実をもとにしたフィクション(ファクション)なので、考証的にはおかしいところだらけ。講談の面白さですな。それにしても、よく観たものだ。
2007年:『海神(ヘシン)』『ファンジニ』
2008年:『朱蒙チュモン)』『ソドンヨ』
2009年:『大王世宗(テワンセジョン)』『必殺!最強チル』『風の国』『一枝梅(イルジメ)』『王の女』『大望』『チャン・ヒビン』『ホジュン』『太陽人イジェマ』『大祚榮(テジョヨン)』
2010年:『王と私』『淵蓋蘇文ヨンゲソムン』『女人天下』『妖婦チャン・ヒビン』『美賊イルジメ伝』『快刀ホン・ギルドン』『ホ・ギュン』『幻の王女チャミョンゴ』『チェオクの剣』『千秋大后』『王道(ワンド)』『チョン・ヤギョン』『タムナ』
2011年:『百済の王クンチョゴワン』『済衆院(チェジュンウォン)』『王と妃』『龍の涙』『キム・マンドク』『トキメキ成均館スキャンダル』『鉄の王キム・スロ』『推奴(チュノ)』『イ・サン』『善徳女王』
2012年:『王女の男』『階伯(ケベク)』『太祖王建(テジョワンゴン)』『名家の娘ソヒ』『剣士ペク・ドンス』『トンイ』『夜叉ヤチャ』『チャクペ相棒』『王妃チャン・ノクス』『名家(ミョンガ)』『九尾狐(クミホ)伝』
2013年:『イニョン王妃の男』『武神』『信義(シンイ)』『武神時代』『根の深い木』『屋根部屋のプリンス』『光宗大王』『広開土大王』『九家の書』『チャングムの誓い』『太陽を抱く月』
2014年:『インス大妃』『チャン・オクチョン』『チョン・ウチ』『大風水』『天命』『Dr.JIN』『大王の夢』『馬医』
2015年:『王の顔』『鄭道伝(チョン・ドジョン)』『秘密の扉』『火の女神ジョンイ』『奇皇后』『花たちの戦い』『夜警日誌』『帝王の娘スベクヒャン』『剣と花』『ホジュン~伝説の心医~』
2016年:『ホン・グギョン』『三銃士』『イニョプの道』『夜を歩く士(ソンビ)』『輝くか、狂うか』『朝鮮ガンマン』
2017年:『花郎ファラン)』『雲が描いた月明り』『魔女宝鑑』『チャン・ヨンシル』『客主』『六龍が飛ぶ』『麗~花もゆる8人の皇子たち~』『テ・バク』
2018年:『逆賊-民の英雄ホン・ギルドン』『仮面の王イ・ソン』『オクニョ』『七日の王妃』
常にオンタイムで観ていたわけでなく、再放送で観たものも多々ありま~す。


昨日に続き

高森朝雄梶原一騎):作、辻なおき:画の『ジャイアント台風』(講談社漫画文庫)全6巻を読了。第4巻は、ブルーノ・サンマルチノへの挑戦をかけた7番勝負の続きに始まり、後半はWWWFチャンピオンのサンマルチノ、NWAチャンピオンのルー・テーズ、WWAチャンピオンのデストロイヤーへの挑戦です。世界三大タイトル連続挑戦は1961年7月から63年3月までの初渡米の時でなく、10月に再び渡米した時のことなんですけどね。そして、その時のWWAチャンピオンはフレッド・ブラッシーでした。しかし、初渡米の時にデストロイヤーに挑戦したのは事実です。
第5巻は、第5回ワールドリーグ戦におけるスランプと、32文ロケット砲の完成。力道山が絶対的エースなので、馬場は力道山を強く見せる必要があり、力道山のインターナショナル・タイトルに挑戦しているパット・オコーナーに勝つわけにいかないんですな。馬場より強いオコーナーに勝つことで、力道山の強さが証明されるわけです。プロレスを真剣勝負の世界として描いている梶原一騎としては、馬場の負けをスランプということにしたのね。ペドロ・モラレスにドロップキックを教えてもらったのは事実ですが、10月に渡米した時でなく、65年2月にロスに遠征した時のことです。
第6巻は、力道山の訃報に始まり、インターナショナル・タイトルを巡ってブルーザーと対決。そして、ルー・テーズの挑戦をくだしてプロレスの王者となります。
梶原一騎ジャイアント馬場物語は、ベタベタのスポ根ドラマですが、何故か惹きこまれま~す。

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興味がひかれて

昨日紹介した『1964年のジャイアント馬場』を読んで気になっていた、高森朝雄梶原一騎):作、辻なおき:画の『ジャイアント台風』(講談社漫画文庫)全6巻をブックオフでゲット。『ジャイアント台風』は、1968年28号から1971年29号まで週刊少年キングに連載されていたマンガ。大学時代に、行きつけの中華飯店で読んだものです。本屋で立ち読みもしたかな。同誌には『柔道一直線』(永島慎二:画)も連載されており、梶原一騎高森朝雄名義にしたようです。これは、少年マガジンに連載されていた『巨人の星』と『あしたのジョー』と同じ方式ね。
でもって、3巻まで読了。第1巻は、1968年の第10回ワールドリーグ戦で馬場がキラー・コワルスキーを破って優勝したところからはじまります。そして、回想。プロ野球選手を辞めてプロレスラーになり、渡米までは実話に近い(但し、蜂による特訓はムチャ)ですが、アメリカでの物語は殆どフィクションです。反則なしで正々堂々闘う姿が描かれていますが、実際は悪役レスラー(ババ・ザ・ジャイアント)として名前をあげていきます。
第2巻は、テキサスでのフリッツ・フォン・エリックとのデスマッチと、覆面レスラー・ミスターMとの対決。馬場はテキサスには行っておらず、エリックと試合したのはエリックが来日した時が最初です。エリックのアイアンクロー対策は、顔を土で覆った上をジープで走らすというムチャクチャな特訓。梶原一騎の世界ですなァ。オデッサの惨劇と呼ばれる、耳そぎチョップ対アイアンクローという血みどろの闘いが繰り広げられます。エリックの来日にあわせて作った物語ね。ちなみに、テレビで見ていて、アイアンクローで馬場のこめかみから血が噴き出した時はビックリしたものですが、レフリーのジョー樋口が隠し持っていたカミソリで馬場のこめかみに傷をつけたとのこと。
第3巻は、バディ・ロジャースへの挑戦。サンマルチノとのライバル物語を軸にしているので、本書ではWWWFチャンピオンとなっていますが、馬場が挑戦した時はNWAチャンピオンでした。得意技は足4の字固めでしたが、先日亡くなったデストロイヤーが日本では足4の字固めの代名詞になっていたので、ロジャースの得意技をスクリュー式パイルドライバーにしています。物語の後半は、ロジャースを破ってWWWFチャンピオンになったブルーノ・サンマルチノへの挑戦をかけた7番勝負。相手は、エドワード・カーペンティア、プリモ・カルネラ、スカイ・ハイ・リー、ヘイスタック・カルホーン、ハッピー・ハンフリー、アーニー・ラッド、ハンス・モーティアの7人。そのうち、スカイ・ハイ・リーまでの3人との対決で~す。

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機内で読書

イタリア旅行に行ってきたのですが、長い飛行の暇つぶしに、柳澤健:著の『1964年のジャイアント馬場』(双葉文庫:2019年1月13日第1刷発行)を読了。ジャイアント馬場の知られざる足跡を追うプロレス・ノンフィクションです。
一言でいえば、プロレスとは何か、ということがわかる本です。プロレスはエンターテインメントで、客を喜ばすことができるレスラーがスターになるんですな。勝ち負けよりも、内容ね。1961年7月に馬場は初渡米し、63年3月に第5回ワールドリーグ戦出場のため帰国。10月に再び渡米しますが、12月に力道山が死亡し、1964年は馬場にとってターニングポイントになった年となります。アメリカ遠征で馬場は、ヒゲに下駄姿の悪くて強い日本人を演じて、客を熱狂させる人気レスラーになっていました。本場アメリカでも数少ない年収10万ドル以上稼ぐレスラーになっていたんですよ。馬場の夢は、ニューヨーク・マディソン・スクウェアー・ガーデンのメインイベンターとなり、引退した後はハワイで絵を書いて過ごすことだったのですが、山口組の田岡組長から日本に帰って来ることを要請され、断ることができませんでした。トップの座を馬場に奪われることを怖れた豊登は馬場を呼び帰すつもりはなかったようですが、日本テレビ日本プロレスの興行をしきる山口組は馬場を必要としたんです。豊登がエースでも、団体最高の高級取りで、人気実力ともに上回っていた馬場は不満を抱くことはありませんでしたが、豊登が不祥事で追放され、名実ともに日本プロレス界のエースになります。団体分裂で全日本プロレス設立までの時期が馬場の全盛時代でしたね。全日本プロレスの社長になってからは、予定調和型のプロレスで面白味はなくなりましたが、人間性の良さで誰からも愛される存在となったのは周知の通り。
馬場がアメリカ遠征で知ったプロレスとは、
①真剣勝負を捨て、一致協力して面白い試合を作り上げる。
②派手な投げ技が多く出るように、微妙な体重移動を行う。
③殴る蹴るなどの打撃技を使う。
④相手をロープに飛ばしたり、コーナーポストから飛び降りたりする。
➄実戦的ではないが、見映えのする技を使う。
⑥ドイツや日本、ソ連など、敵国のレスラーを演じる。
⑦覆面をかぶって神秘性を演出する。
⑧場外乱闘を行う。
⑨流血して観客を驚かせる。
➉レフェリーの見えないところで、観客にわかるように反則攻撃を行う。
異種格闘技戦を行う。
⑫異種スポーツのスター選手をレスラーにする。
⑬マイクパフォーマンスを行う。
⑭観客の憎悪をかきたてるパフォーマンスを行う。
で~す。

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帰りも

イタリア旅行に行ってきたのですが、長い飛行の暇つぶしに、時代劇『散り椿』(2018年・東宝/監督:木村大作)を観る。妻の願いをかなえるために故郷に戻った男が、藩の不正をただす物語です。葉室麟の原作を小泉堯史が脚色。
藩の不正を訴え出たため、扇野藩を追われた瓜生新兵衛(岡田准一)は、愛する妻・篠(麻生久美子)の遺言で故郷に戻ってきます。藩では若殿(渡辺大)の意を受けて改革を進めようとする側用人・榊原采女西島秀俊)と、御用商人の田中屋(石橋蓮司)を庇護する家老・石田玄蕃(奥田瑛二)が対立。篠の遺言は、私の代わりに故郷の散り椿を見て欲しいということと、新兵衛の友人でもあった采女を助けてやって欲しいというもの。かつて、采女と篠は愛しあっていましたが、家柄の違いで采女の母(富司純子)から結婚を反対され、篠は密かに篠を思っていた新兵衛と結婚。そうした経緯から、新兵衛は篠がずっと采女に想いを寄せていたんじゃないかいう気持ちがあるのね。不正を働いていた采女の父は何者かに殺され、勘定方の役人だった篠の兄は不正を見抜けなかった責任をとって自決したという不正事件をめぐる因縁もあり、新兵衛は真相を突き止めようと決意。篠の妹・里美(黒木華)は故郷に戻った新兵衛に戸惑いを見せますが、亡くなった篠を一途に想う姿や、不正を正そうとする凜とした生き方に惹かれていきます。采女と対峙した新兵衛は……
名カメラマンの木村大作が監督をしているだけに、構図のとりかたや一つ一つのカットに見るべきものが多々あります。岡田准一が考案したという殺陣も良し。惜しむらくは、相手となる西島秀俊の動きが固かったことかな。悪役が類型的で、複雑な物語にしては薄っぺら感じ。チャンバラシーンも無理やり挿入した感じですが、最近の時代劇にはないチャンバラの楽しさはありますな。ところで、新兵衛の命を狙う家老配下の役で新井浩文が出演しており、テレビ放映は危ういかもしれませ~ん。

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続いて

イタリア旅行に行ってきたのですが、長い飛行の暇つぶしに、『ザ・プレデター』(2018年/監督:シェーン・ブラック)を観る。ハイテク武器を装備し、人間狩りを行う異星人プレデターと、はみ出し軍人が戦う毎度お馴染みのSFアクションです。
特殊部隊の狙撃兵クイン(ボイド・ホルブルック)はメキシコのジャングルでプレデターと遭遇し、謎の装置を自宅に発送。プレデターの存在を隠す政府極秘機関の施設に監禁されたクインは、プレデターの血痕を持ち出そうとした女性科学者ケイシー(オリヴィア・マン)や、ネブラスカトレヴァンテ・ローズ)たち精神障害はみ出し軍人と施設から脱走します。クインの息子ローリー(ジェイコブ・トレンブレイ)が家に送られてきた装置を起動させたことから、プレデターを呼び寄せることになり……
シュワルツェネッガーの『プレデター』以来、政府はプレデターを研究していたという設定。プレデターは地球にやって来る度に、他の種のDNAを利用し、アップグレードしていることがわかります。今回は、通常のプレデターよりもはるかにパワーアップした身長3メートルのアルティメット・プレデターが出現。しかし、お話の方は子どもを守るために、皆で協力して戦うという軽い内容。戦い方にもこれといった工夫がなく単調。予定調和型の手軽に楽しめるB級映画で~す。

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