意外な良品

録画していた『ザ・ハント ナチスに狙われた男』(2017年/監督:ハラルド・ズワルト)を観る。実話に基づいた劇場未公開のノルウェー製戦争脱出劇です。
ナチスへの破壊工作のため、イギリスで訓練を受けたノルウェーの特殊部隊がナチスに占領されている故国に戻りますが、情報がナチスに漏れていて、集合に遅れたヤン中尉を除いて全員捕まります。ナチス親衛隊長シュターゲ(ジョナサン・リス・メイヤーズ)の執拗な追跡をかわしてスウェーデンへの脱出を目指しますが……
極寒の海や雪原の中での逃避行は、観ているこちらにも寒さが伝わってきます。氷の海を泳ぐなんて普通だったら死んじゃいますよ。ドイツ兵が氷の海で10分も我慢できないのに、死体が発見されていないといって追跡をやめない親衛隊長の執念も凄く、単純なドラマを面白くしています。裏切者やナチスに忠誠を誓うノルウェー人も出てきますが、国民の大半はナチスへの反感があり、主人公は行く先々で人々の助けを得て、窮地を脱出。ノルウェー人の誇りと勇気を描いた良品で~す。

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懐かしの映画

録画保存していた『傷だらけの栄光』(1956年/監督:ロバート・ワイズ)を観る。淀長さんが解説していた日曜洋画劇場で観て以来の再見です。
ニューヨークの貧民街で育ったロッキー(ポール・ニューマン)は、ロモロ(サル・ミネオ)たち近所の悪童たちを誘っては盗みを働く不良少年。土地の不良団と喧嘩して少年院に送られますが改心せず、反抗を続けます。陸軍に徴兵されても上官を殴って脱走。ニューヨークへ舞い戻ったロッキーは、小遣い稼ぎにボクシングの試合に出て連勝しますが、憲兵に捕まり陸軍刑務所に送られます。そこで、弱い者いじめする大男と殴り合い、ノックアウトするのを見ていた体育係からボクサーになることを勧められ、真面目に練習をし、自分の進むべき道を悟るのね。出所したロッキーは、妹の友達ノーマ(ピア・アンジェリ)と知りあい結婚。プロボクサーとなって順風満帆な日を送りますが、刑務所時代に知り合った男(ロバート・ロジア)に八百長試合をもちかけられ……
ロッキー・グラジアノの伝記映画で、トニー・ゼイルに勝って世界ミドル級チャンピオンになるまでを描いています。ロバート・ワイズの演出は、非常に短いシークェンスの積み重ねでテンポよく展開し、後半の拳闘シーンはシャープでダイナミック。ポール・ニューマンの映画デビュー2作目で、リアリズムを基調としたテンポの早い演技がワイズの演出とマッチして抜群の存在感があります。公開当時はニューマンのブレイクした作品として評判になりましたが、後年、ロッキーの悪童仲間の一人として出演(セリフなし)していたスティーブ・マックィーンのデビュー作としても有名になりましたね。
引退後、ロッキー・グラジアノはタレントとして活躍し、日本でもNET系列(現:テレビ朝日)で1961年10月16日より放送された海外ドラマ『マイアミの戦慄』にも出演していました。『マイアミの戦慄』は、マイアミのホテル協会に所属する探偵が主人公の探偵アクションで、ロッキーは主人公の相棒役。ボクサーあがりという設定で、役名もロッキーで地のままね。

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画像は、ポール・ニューマンとピア・アンジェリ。ピア・アンジェリはイタリア生まれの美人女優で、52年にハリウッド入りし、美しい黒髪と可憐な美貌により清純派の娘役として人気を得ました。ジェームズ・ディーンとの仲を噂されたこともあったんですよ。離婚や人気の伸び悩みもあって58年にイタリアに戻りましたが作品にめぐまれず(日本未公開のマカロニ西部劇にも出演している)、再婚生活もうまくいかず71年に自殺しています。

週末はA級映画

録画していた『ミッション:インポッシブル/フォール・アウト』(2018年/監督:クリストファー・マッカリー)を観る。イーサン・ハートが何者かに盗まれたプルトニウム奪還に奔走するシリーズ第6弾です。
何者かによって3個のプルトニウムが盗まれ、IMF長官ハンリー(アレック・ボールドウィン)から奪還を命じられたイーサン(トム・クルーズ)は仲間のルーサー(ヴィング・レイムス)が人質になったことから任務に失敗。3つの都市を標的としたテロが迫る中、仲間のベンジー(サイモン・ペック)やルーサーとその阻止に奔走するイーサンでしたが、イーサンに疑惑の目を向けるCIAからウォーカー(ヘンリー・カヴィル)が監視役としてやって来ます。敵につながる謎の女性ホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)に近づいたイーサンは、収監中のソロモン・レーン(ショーン・ハリス)の脱獄に手を貸すことになりますが……
前作『ローグ・ネーション』の続編になっています。CIA長官だったハンリーは前作の失敗でIMF長官に就任。IMFはCIAの下部組織という位置づけなので左遷ですな。前作の悪の親玉だったソロモン・レーンが本作でも黒幕的存在。前作で一緒に戦ったMI6のイルサ(レベッカ・ファーガソン)が本作でもソロモンとの戦いに絡んできます。このシリーズ定番のカーチェイスやオートバイによるアクションはスタントマンのおかげですが、CGなしのアクションで走りまくるトム・クルーズのガンバリにたいして☆ひとつアップで~す。

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受賞作ということで

録画していた『ビューティフル・デイ』(2017年/監督:リン・ラムジー)を観る。第70回カンヌ国際映画祭で男優賞と脚本賞を受賞したサスペンス映画です。
人捜しのプロであるジョー(ホアキン・フェニックス)は、ヴォット議員からの依頼で売春組織に拉致されている娘ニーナ(エカテリーナ・サムソン)を救出。しかし、議員との待ち合わせ場所で殺し屋に襲われ、ニーナを連れ去られます。窮地を脱したジョーは、依頼の仲介人を訪ねますが殺されており、さらにジョーの母親まで殺され……
主人公は、少年時代に父親から虐待を受け、海兵隊員として戦場で凄惨な死闘を行ったというトラウマを持っており、老いた母親の面倒をみるのが唯一の慰めになっています。そんな主人公をホアキン・フェニックスが寡黙な演技で観る者を惹きつけます。セリフをできるだけ抑え、映像表現を中心とした演出は、作品の雰囲気にマッチしておりグッド。単純な作品ばかり観ていると、たまには演出意図をじっくり考える作品もいいもので~す。

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海外ドラマから

録画していた日テレの海外ドラマ『レジェンド・オブ・トゥモロー』の1話と2話を観る。『フラッシュ』のシーズン2が終わり、その後番組として先週から放送開始。本国ではシーズン5が放送されているので、かなり遅れての放送ですけどね。ちなみに『フラッシュ』は、シーズン6の製作決定。
『レジェンド・オブ・トゥモロー』は、DCコミックで活躍するヒーローや悪役たち8人がチームを組んで、過去と未来を行き来しながら巨悪を倒すというDCコミック版“アベンジャーズ”です。
2166年、世界は不死身の悪党ヴァンダル・サベッジ(キャスパー・グランプ)によって征服され、人類は絶滅寸前。タイム・トラベラーのリップ・ハンター(アーサー・ダーアヴィル)は世界が滅びる前に歴史を変えたいとタイムシップに乗って2016年のスターシティーにやって来ます。そこで、アトムことレイ・パーマ(ブランドン・ラウス)、ホワイトキャナリーことサラ・ランス(ケイティ・ロッツ)、ファイヤーストームのマーティン教授(ヴィクター・カーバー)とジェファーソン(フランツ・ドラメー)、ホークマン(フォーク・ヘンチェル)とホークガール(シアラ・レネー)、キャプテン・コールド(ウェントワース・ミラー)とヒートウェーブ(ドミニク・パーセル)の8人を、未来では伝説になると、その気にさせてスカウト。サベッジの研究家がいる1975年のニューオリンズにタイムトラベルしますが、歴史を監視しているタイムマスターズが雇った賞金稼ぎが彼らの行動を妨害します。第2話でサベッジを追いつめますが、ホークマンがサベッジに殺され、ホークガールが負傷し、サベッジは逃亡。
タイムトラベルしながら戦うというのが味素で、2話でその世界にない新技術のパーツをアトムが落としてしまったことから、それによって後々新たな新兵器が開発されて未来が書き換えられる危険性が出たり、マーティン教授が青年時代のマーティンと接触したことから将来の自分の運命が変わりそうになったりと、『ターミネーター』や『バック・トゥー・ザ・フューチャー』を感じさせる愉しめる要素になっています。アトムとホワイトキャナリーは『アロー』に登場したキャラだし、ファイヤーストーム、ホークガール、キャプテン・コールドとヒートウェーブは『フラッシュ』に登場したキャラ。『アロー』や『フラッシュ』とのコラボ・エピソードも出てきそうで~す。

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続いて

4DXで『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年/監督:マイケル・ドハティ)を観る。2014年の『GODZILLA ゴジラ』の続編にして、同一世界観で描かれた2017年の『キングコング:髑髏島の巨神』に続く“モンスター・バース”シリーズの第3弾です。
ゴジラとムートーの戦いでサンフランシスコが壊滅的被害を受けてから5年、その戦いで息子を失った女性科学者エマ(ヴェラ・ファーミガ)は、特務機関モナークで怪獣をコントロールする装置を開発。環境テロリストのジョナ(チャールズ・ダンス)一味がエマと娘のマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)を拉致し、装置を奪います。事態を重く見たモナークの芹沢博士(渡辺謙)とグレアム博士(サリー・ホーキンス)は、別居中のエマの夫マーク(カイル・チャンドラー)にも協力を仰ぎ、ジョナ一味を追跡。ジョナ一味はモナークの施設を襲い、氷に閉ざされていた宇宙怪獣キングギドラが復活します。世界各地ではラドンなどの巨大怪獣が出現し……
東宝ゴジラ・シリーズが好きだった私としては、ニタニタするシーンが多くて楽しめました。モスラゴジラが協力してキングギドラと戦うのは、もろ『三大怪獣 地球最大の決戦』です。モスラとテレパシー交信できる女性科学者(チャン・ツィイー)が双子という設定もね。劇伴曲として“ゴジラ”や“モスラ”のテーマが流れるだけでなく、音楽はどれも素晴らしくサントラCDが欲しくなりましたよ。怪獣バトルは金をかけているだけあって見応えあり、アトラクション映画としては上出来です。だけど、ラドンモスラの造形は気に入らないなァ。CG映像画面が暗いのも難点。次は、ゴジラキングコングですかね。

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帰省中に観た映画

とっくに公開終了したと思っていた『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年/監督:アンソニージョー・ルッソ)を観る。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の続編で、シリーズ最終作です。
6つのインフィニティ・ストーンを全て手に入れたサノス(ジョシュ・ブローリン)によってアベンジャーズのメンバーを含む全宇宙の生命が半分となった世界で、アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)、キャプテン・アメリカクリス・エヴァンス)、ソー(クリス・ヘムズワース)、ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)、ハルク(マーク・ラファロ)、ホークアイジェレミー・レナー)たち生き残ったアベンジャーが集結します。アントマンポール・ラッド)のアイデアで、タイムトラベルしてサノスより先に6つのインフィニティ・ストーンを手に入れて元の世界に戻そうとしますが……
前作を観ていないと何が何やらさっぱりわからない作品です。『インフィニティ・ウォー』とセットね。タイムトラベルして過去に行き、懐かしのキャラも登場。マーベル・ヒーローの集大成といえますな。クライマックスは前作で消えたヒーローたちが生き返り、新顔のキャプテン・マーベルも加わり、アベンジャーズ・オールスターによるサノス軍団と大バトル。これだけが見どころ(各キャラの見せ場を作らなきゃならないので、アクションシーンの長いこと、長いこと)で、あとは如何でもいいような内容でした。アイアンマンとキャプテン・アメリカは、これでサヨナラで~す。

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