新体験

録画していたゲキ×シネ『乱鶯』を観る。ゲキ×シネというのは演劇のライブ映像を映画館で上映するために製作されたもので、従来との舞台中継とは一線を画した、新しい映像体験とのこと。『乱鶯』は、劇団☆新感線が2016年に上演して好評をはくした演目。
しっかり準備を重ねて春にしか盗みを働かないので鶯の十三郎(古田新太)と呼ばれる盗賊の頭が、仲間の裏切りによって北町奉行与力・黒部源四郎(大谷亮介)に待ち伏せされて一味は全滅、自分も深傷を負います。幕府目付・小橋貞右衛門(山本亨)に救われ、居酒屋・鶴田屋の勘助(粟根まこと)とお加代(稲森いずみ)の世話で養生。それから7年後、勘助は亡くなり、十三郎は板前として加代を助けて鶴田屋で働いています。そこへ、火縄の砂吉(橋本じゅん)という凶盗を追っている御先手組組頭・小橋勝之助(大東駿介)が客として鶴田屋へ。勝之助が恩人・貞右衛門の息子としった十三郎は、勝之助に手柄を立てさすために砂吉が狙っているという呉服屋・丹下屋に潜入しますが……
舞台全体が見渡せる観劇と、役者の表情が細かに映し出される映画では演出に違いがあるのは当然で、観劇では丁度良いオーバーアクトの演技も映像で観ると鼻につくところがあります。舞台演劇を映像で観るのは好きじゃなかったのですが、時代劇に飢えていたこともあって観賞。ユーモアや殺陣を交えた演劇内容は評判通りですが、やっぱり観劇の世界ですね。ゲキ×シネというくらいで、映像に工夫を凝らしていますが、映画であれば2時間以内にまとめられる内容です。観劇だと劇場の雰囲気を楽しんだり、休憩があったりして3時間は長く感じないのですが、映像での3時間は長いよォ。

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ラトビア史劇

録画していた『バルト・キングダム』(2018年/監督:アイガース・クラウバ)を観る。ラトビアの英雄を描いたイギリス・ラトビア合作の劇場未公開歴史アクションです。
時代は13世紀。ローマ教皇の息子マックス(ジェームス・ブロアー)は、バルト諸国の支配者になるため、小国ながら確固たる地位を築くゼムガレへの侵略を計画。すでにキリスト教国になっている隣国の国葬に赴き、出席していたゼムガレ国王と王子に毒を盛ります。かろうじて帰国した王は、勇気と智恵のある遠縁の青年ナメイ(エドヴィン・エンドレ)を後継者に指名。ナメイは復讐のために隣国に攻め込み、マックスは命からがらローマへ逃げ帰ります。ナメイは恋人ラウガ(アイステ・ディルジューテ)と結婚し、平和な日々を送りますが、マックスが大軍を率いて現れ……
ハリウッド製に比べると戦闘シーンなどは小規模ですが、CGを使わないアクションは意外と迫力があります。ただ、編集が拙く、場面のつなぎにギクシャクしているところが見受けられるのが残念。月初に観たオランダ映画『ウォリアー』もそうでしたが、大国(8世紀のフランク王国、13世紀の神聖ローマ帝国)がキリスト教布教の名のもとに侵略していった史実を知ることができて楽しめました。ちなみに、ナメイはラトビアの伝説的ヒーローで、映画のクライマックスになる“ナメイス・リング”はラトビア人の勇敢のシンボルとして男女の区別なく身につけることができ、観光土産となっているようです。

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定番デュエット

昨日は、久しぶりに会社時代の友人二人+一人と飲み、カラオケへ。+一人というのは友人の奥さんね。職場結婚だったので私も知らぬ相手じゃなし、男二人とは年に2~3度会っているのですが、彼女とは15年振りの再会。歌うのは、定番中の定番「銀座の恋の物語」で~す。

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同名映画の主題歌と思われていますが、『街から街へつむじ風』(1961年/監督:松尾昭典)の挿入歌として作られました。レコードが大ヒットしたので、映画『銀座の恋の物語』(1962年/監督:蔵原惟繕)が作られたのです。だから、裕次郎のデュエットの相手は浅丘ルリ子でなく牧村旬子。作曲した鏑木創は、当時フランク永井松尾和子のデュエットでヒット中の「東京ナイトクラブ」を下じきにしたとのこと。当時裕次郎のプロデュサーだった水の江瀧子から、裕次郎の結婚式の前に吹き込ませたいという要望で、作詞家の大高ひさをと打ち合わせしながら、わずか5日で完成。結婚式前日の60年12月1日に日活撮影所で、たった10分ほどの練習の後に吹き込みがされました。
裕次郎のデュエット相手の牧村旬子は、当時17歳。7歳から米軍キャンプなどでジャズを歌っており、ものおじしない性格で裕次郎相手に堂々とした歌いっぷり。女性から先に歌うというデュエット曲としては珍しいもので、嫌がる男を無理に歌わせるにはもってこいのカラオケ・ソングとなりました。女性が歌いだしたら、歌わざるえないものねェ。
♪~こォこォろの、そォこォから~

安かったので

ブックオフで5枚組CDボックス『チャンバラ・ヒーローズ』をゲット。ずっと以前に、コロムビアファミリークラブから送られてきた通販カタログ『音の楽園』で紹介されていて、興味がひかれたものの、コロムビア原盤からの収録のため歌手の幅が狭くて見送ったものです。
このCDボックスは、昭和初期からおよそ50年におよぶ映画・ラジオ・テレビ時代劇で親しまれてきた“チャンバラ・ヒーローズ”を主人公にした、時代劇の英雄たちの歌を90曲収録。村田英雄の歌が21曲もあって、まるまるCD1枚分ね。「雪麿一本刀」のようなマイナーなテレビ時代劇の主題歌があるのはグッドですけどね。
映画・ラジオ・テレビの主題歌だけでなく、大川栄策の「木枯紋次郎」のように小説からのモチーフ歌謡曲も含んでおり、バラエティにとんだ選曲といえますが、コロムビア原盤だけからくる限界ともいえます。ゲットの目的が、松島トモ子が劇中で歌っていた「快傑黒頭巾」(大友柳太朗主演の東映シリーズ)だったので、それだけで満足で~す。
♪~いつも正しく、明るく強い、みんな夢みるおじさんは、2丁拳銃、左に右に、撃つよ撃つよ、快傑黒頭巾

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何故か録画していた

録画したままHDに溜め込んでいた『惑星大戦争』(1977年・東宝/監督:福田純)を観る。『スター・ウォーズ』便乗作品として、東映の『宇宙からのメッセージ』とならんで酷評されている作品。それで未見だったのですが、なかなか観る気がおきませんでした。
1988年、宇宙ステーションが何者かに破壊され、世界各地にUFO騒ぎと電波障害が発生。宇宙侵略軍の球状円板ヘルファイターの大軍により国連基地は全滅。しかし、国連宇宙局の滝沢(池辺良)によって宇宙防衛鑑・轟天が完成し、ヘルファイターを一掃します。侵略者の基地がある金星に向けて出発し、途中で宇宙ステーションの残骸を発見。調査に行った三好(森田健作)と滝沢の娘ジュン(浅野ゆう子)が乗組員(新克利)の死体を回収しますが、死体は宇宙人の偽装で、ジュンが人質にとられ連れ去られます。金星に着陸した轟天は、宇宙人の基地を発見。室井(沖雅也)率いる宇宙飛行隊の援護を受け、三好と冬木(宮内洋)はジュンを救出すべく敵基地に忍び込みますが……
海底軍艦』を宇宙に置き換えただけの焼き直し作品。製作期間がわずか2ヶ月では脚本に時間なんかかけられませんわな。歌舞伎の黒子のような頭巾を被った宇宙人や、捕まえた浅野ゆう子を監視するチュー・バッカのような着ぐるみ怪人は、メイキャップの時間を省略するための手段かな。侵略軍の旗艦・宇宙大魔鑑は宇宙船の造形とは程遠いローマ船。司令官までローマ戦士スタイルにしなくてもいいだろうにね。この大魔鑑が金星基地で、ちゃんとした基地を作らなかったのも時間の省略。だけど、轟天と大魔鑑の対決は、東宝特撮らしい見せ場になっています。

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画像は、チュー・バッカ風怪人と浅野ゆう子浅野ゆう子はデビューしたばかりの頃で演技はド下手。だけど、このスタイルを見せてくれるだけで満足なので~す。

蒸し暑い時は

曇っていてムシムシ暑い時は何もする気がおきず、CDを聴きながらゴロゴロ。

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全部で20曲(「怨み節」から始まり、「芽衣子の夢は夜ひらく」まで)収録。梶芽衣子の歌手活動は、仕事の一環として日活作品で歌っていた時代、独自路線を敷いた東映作品時代、映画から離れて歌手活動の時代、前3時代のテイチクからポリドールへ移籍し歌手としてライト演歌路線へシフトした時代と、大きく四つに分けられます。サントラ音源からの収録はないので、“野良猫ロック”シリーズで彼女が歌った挿入歌がないのは仕方ないのですが、レコードデビュー曲の「仁義子守歌」が収録されていないのは残念。「あかね雲」「舟にゆられて」「挽歌」「芽衣子の夢は夜ひらく」など、これまで聴いたことのない曲もあって全体としては満足です。
「あかね雲」は、高倉健勝新太郎と共演した『無宿(やどなし)』のヒロインを感じさせる叙情性ある歌でグッド。「舟にゆられて」はソフトロックだし、「挽歌」は中島みゆき風。「夢は夜ひらく」は、色々な歌手が詞を変えて歌っていますが、梶芽衣子盤は現実を諦めた女の捨て台詞風で、彼女の特色を活かしており、締めの曲としてピッタリで~す。

懐かしの時代劇

CATVの時代劇専門チャンネルで『紅つばめお雪』の最終回を観る。NET(現:テレビ朝日)系列で、1970年10月2日~12月25日放送のワンクール(全13回)番組で、当然リアルタイムでは観ておらず、今回もたまたま途中(第5回)から観始めたのですが、未見の時代劇に飢えていたこともあって面白かったです。
主人公のお雪(宮園純子)は、八重垣流小太刀の達人で、5歳の時に八重垣流始祖の父と伊豆大島に渡り剣術修行の日々を送ったために世間知らずの娘という設定。世間並の常識を持つために旅に出て、出会ったのが百姓出身の侍・藤吉(里見浩太朗)とヤクザ志願の与三郎(工藤堅太郎)で、三人で旅をしながら悪党退治をするんですな。60年代後半から70年代は、映画界から流入してきた時代劇スタッフによってテレビ時代劇は質量ともに充実しており、そんな中で際立った特徴のない作品はワンクールで消える運命だったようです。
宮園純子は、68年から69年にかけて東映の末期時代劇ともいえる毒婦シリーズ4本(『般若のお百』『人斬りお勝』『女刺客卍』『お勝凶状旅』)に主演したのですが、映画での宮園純子を知っている男性ファンは、復讐に燃える情念の女とは違う純真な女にガッカリしたんじゃないかな。宮園純子はイメージチェンジのテレビ主演だったのかも知れませんけどね。
工藤堅太郎と同格扱いになっている里見浩太朗は、現在では時代劇の大御所的位置づけですが、当時は任侠路線の東映にあっては行き場がなくテレビに目を向けた時期といえます。翌年の『水戸黄門(シ-ズン3)』の助さん役から、本格的にテレビ時代劇の顔になっていったような気がしま~す。

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