本格西部劇

nostalji2011-09-12

注文していたDVD『トゥルー・グリット』(2010年/監督:ジョエル&イーサン・コーエン)が届いたので早速観る。西部劇なので映画館で観たかったのですが、近くのシネコンでは上映されず、東日本大震災の後の計画停電などがあって観ることができなかった作品です。チャールズ・ポーティスの小説の2度目の映画化で、前作はジョン・ウェインがアカデミー主演男優賞を獲った『勇気ある追跡』((1969年/監督:ヘンリー・ハサウェイ)ね。そのため、どうしても比較することになりますね。
でもって、前作との違いですが、原作に忠実なのと衣装や小道具がリアルになっていました。ヘンリー・ハサウェイの演出はジョン・ウェインの魅力を最大限に引き出すことを主眼にしていて、豪快な娯楽映画にしあげていましたが、コーエン兄弟の演出は細かな表現で西部開拓時代を再現していますね。父を殺されたマティ(ヘイリー・スタインフェルド)がフォートスミスの町に列車でやって来るんですが、暴力が支配する辺境の地を車止めのある終着駅映像で示しています。絞首刑のシーンではインディアンの犯罪者だけが後に遺す言葉を言うことなく吊るされ、当時のインディアン蔑視を描いていました。何でもないようなシーンに含みを持たせた表現をいれるのは、流石コーエン兄弟といえるでしょう。アクション面には少し不満があるものの、久しぶりの本格西部劇に満足、満足で〜す。
武士道が日本人にとって誇りであるように、アメリカ人にとってフロンティアスピリットが誇りだと思うのですが、時代劇も西部劇も少なくなりましたねェ。