発想だけでは

nostalji2012-02-16

録画保存していた『透明天狗』(1960年・大映/弘津三男)を観る。公金を横領して密貿易をした罪を被せられた父の怨みをはらすため、透明人間となって父を陥れた連中に復讐する男の物語です。透明天狗(島田竜三)に襲われて材木の下敷きとなって死んだ目明かしの娘(近藤美恵子)と恋仲の新八郎(中村豊)は、目明かしの上司だった与力も透明天狗に殺され、新八郎の叔父である大目付にも透明天狗からの殺人予告状が届いたことから捜査を開始します。新八郎が透明天狗の父が冤罪だった証拠を見つけるのですが……
時代劇に透明人間を持ち込んだ発想はユニークですが、南蛮の秘薬で透明になるというのはお手軽すぎます。普段は透明でなく、薬を飲んで効果がきいている時に透明になるようですが、詳しい説明は全くありません。包帯でなく白頭巾をとったら顔がないとか、雪の上を足跡だけが行くという、元祖“透明人間”の有名シーンを踏襲しているのは嬉しいですけどね。透明人間のトリック撮影ばかり考えて、お話が二の次になったのが残念で〜す。
新選組血風録』『俺は用心棒』『燃えよ剣』など、栗塚旭・島田順司とのトリオで味わい深い演技を見せた左右田一平(81歳)さんが亡くなる。あの飄々とした持ち味は忘れられませんねェ。