江戸時代のコズミックフロント

nostalji2013-10-01

録画していた『天地明察』(2012年/監督:滝田洋二郎)を観る。江戸時代に日本独自の暦を完成させた実在の人物・安井算哲の物語です。旧習に対する改革の困難さを、暦作りを通して描いているのね。
安井算哲(岡田准一)は、囲碁の名家に生まれながら天文や算術に優れ、会津藩主・保科正之松本幸四郎)や、水戸藩主・水戸光圀中井貴一)の知遇を得ます。保科正之の命により北極星の観測による全国測量(北極出地観測隊)に同行した算哲は、使われている暦が実際の日より2〜3日ずれていることを知り、水戸光圀から新しい暦を作るプロジェクトリーダーに任命されるんですな。
本因坊道策(横山裕)との将軍・家綱の御前での囲碁対局、天才算術家・関孝和市川猿之助)との絵馬での算術問答、算術指南・村瀬義益(佐藤隆太)の妹えん(宮崎あおい)との出会い、全国測量における建部伝内(笹野高史)や伊藤重孝(岸部一徳)との交流など、前半部分は歯切れよくエピソードが処理され快調なのですが、後半は観測所襲撃など無理なアクションシーンを織り込んだために不自然なものになっています。暦採用の権限を握る朝廷の宮栖川友麿(市川染五郎)との対立もステロタイプで、盛り上がりに欠けます。
この時代より後になりますが、将軍・吉宗も天体観測が好きで、木星の惑星や土星の輪を天体望遠鏡で観測しているんですね。江戸時代の天体観測は想像以上に優れていま〜す。