懐かしの東宝ノワール

録画していた『血とダイヤモンド』(1964年・東宝/監督:福田純)を観る。3億円のダイヤの原石をめぐるクライムアクション。

宇津木(田崎潤)をボスとするギャング団は税関から運び出される3億円相当のダイヤの原石を狙っていましたが、横合いから小柴(佐藤允)たち4人組がかっさらいます。逃げる際、小柴は護衛に撃たれて負傷。仲間の手代木(砂塚秀夫)とジロー(石立鉄男)が医者を捜しに行きます。ダイヤを独り占めしようとした仲間のひとり跡部藤木悠)を殴り倒し、小柴はダイヤを処分するために故買屋の崔(遠藤辰雄)に連絡。損害保険会社からの依頼でダイヤを運ぶ人物の身辺調査をしていた私立探偵の黒木(宝田明)は、レストランの店員・利恵(水野久美)がその情報をつかんでいたことに気づきます。黒木は損害保険会社にダイヤ奪還の報酬として7千万を要求。利恵に近づいた黒木は、5千万円で取引きしようと提案。崔は宇津木一味に捕まり、取引現場に表れたのは崔の子分で、小柴はふとしたことから子分を射殺。利恵と現場に駆けつけた黒木は、小柴に拳銃をつきつけられて隠れ家に連行されます。手代木とジローは秋津病院の娘・津奈子(中川ゆき)を人質にして外科医の秋津(志村喬)を拉致。ダイヤ強奪事件の捜査をしている児玉刑事(夏木陽介)は、秋津医師が病院に帰ってこないという情報を得て……

前半は小柴一味、宇津木一味、黒木と利恵の行動、そして警察の捜査活動が手際よく描かれ、快調なテンポで展開していたのですが、秋津医師が絡んでくる後半は間延びしたものになってきます。邦画の悪いクセで後半は情実部分が強くなって、登場人物がみな悪漢だった前半のハードボイルドの良さが帳消しになるんですね。作り方次第で上質なノワールアクションになっただけに残念。アイ・ジョージが主題歌を歌っているんですが、『決断の3時10分』の主題歌とメロディーラインが同じで~す。