懐かしの青春映画

録画していた『卒業』(1967年/監督:マイク・ニコルズ)を再見。ダスティン・ホフマンキャサリン・ロスが世界的に有名になった作品。

勉強もスポーツもそつなくこなして大学を卒業した真面目青年のベン(ダスティン・ホフマン)は、これから先の人生をどうして過ごすべきか、説明しえない焦燥感を抱いています。嫌がる彼を無視して両親が開いたお祝いのパーティで会った知人のロビンソン夫人(アン・バンクロフト)がベンを強烈に誘惑。彼女は強引に家まで送らせたうえ、戸惑うベンの前で衣服を脱いで挑発したんですな。ホフマン独特の演技で笑いを誘います。その夜は何事もなかったのですが、彼の方から夫人にデートを申し込み、ホテルで密会。ベンは情事の生活に生きがいを見出します。何も知らない両親は、大学から休みで帰ってきた夫人の娘エレーヌ(キャサリン・ロス)との結婚を希望。いやいやながらエレーヌとデートしたら、彼女の清純さ可憐さに、たちまち恋をします。一方、夫人は嫉妬のあまり、娘に彼と自分の関係を暴露。ショックを受けたエレーヌは、傷心を抱いて大学に戻ります。必死に跡を追うベン。ベンの一途な想いは、ついに別の男と結婚式をあげるエレーヌを式場から略奪し、人生入門を卒業。

音楽と流麗な映像が若い二人の心を表し、ユニークな青春恋物語になっています。原作はチャールズ・ウェッブの同名小説。モラトリアム感覚と既成の道徳に対する不信感。『俺たちに明日はない』と並ぶ、ニューシネマの先駆的作品です。

この映画にはサイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」「スカボロー・フェア」「ミセス・ロビンソン」の叙情的な3曲が使われていますが、この映画のために書かれたのは「ミセス・ロビンソン」だけ。主題歌の「サウンド・オブ・サイレンス」は、サイモンが1964年に作詞・作曲したもの。「スカボロー・フェア」の元はアイルランド民謡。3曲とも映像とうまく結びついて甘美な効果をあげていましたね。