週に一度は西部劇

録画保存していた『必殺の一弾』(1956年/監督:ラッセル・ラウズ)を再見。20年前に再見した時と感想は全く同じ。

砂漠を行く三人の無法者(ブロドリック・クロフォード、ジョン・デナー、ノア・ビアリー)のロング映像のタイトルに始まり、三人が着いたシルバーラビットの町でクロフォードが町一番の早撃ちを射殺。最初の数分を観ただけで面白さがわかる西部劇です。そして一転して、早撃ちの訓練をしているグレン・フォード。銃杷には六つの刻みがつけられており、この男の過去が尋常ではないことを一目でわからせる心憎い演出。クロスクリークの町ではクロフォードの早撃ちが話題になり、誰が西部で一番の早撃ちかと、話がはずんでいます。子供の頃から早撃ちを練習しており、誰にも負けないと自負しているフォードが我慢できなくなり、早撃ちを披露。早撃ちのことがわかると自分を狙ってやって来る早撃ち自慢に町を乱されるのでフォードは町を立ち去ろうとします。しかし、過去にもこのようなことがあり、その度に町を逃げ出す人生に嫌気をさした妻の言葉と町民の提案を信じて町に残ることを決心。ところが、そこへ銀行を襲撃して追われているクロフォードが町にやってきます。クロフォードは子供からフォードの早撃ちのことを聞き、町民を脅してフォードに挑戦。フォードが所持していた拳銃は決闘で死んだ父親の物で、フォードは実戦経験のない臆病な早撃ちガンマン。相手を殺したくなくて町を去っていたのでなく、決闘が怖くて逃げ出していたんですな。仕方なくクロフォードと戦うはめとなった決闘の結果は、墓二つ。1970年代の西部劇だったら重く暗い内容にしたでしょうが、そこは50年代の西部劇ですからラストは爽やか。

早撃ち名人の話を聞いてイライラしてきて、拳銃をつけていなくても無意識に拳銃に手をかけるような動作を見せるフォードのノイローゼ演技もさることながら、早撃ちナンバーワンにこだわるクロフォードの執念の演技も光っています。この二人の心理が、早撃ちの果たし合いという単純なテーマを深いものにしていますな。『拳銃王』への皮肉も感じられる作品で~す。

ちなみに、ラス・タンブリンが出演していますが、物語には関係なく踊りを見せるだけの存在。