録画していた『甘い生活』(1960年/監督:フェデリコ・フェリーニ)を観る。1950年代後半の豪奢で退廃的な上流階級(有閑階級)の生態、その場限りの乱痴気騒ぎやアバンチュール、社会を生きる上での指針やモラルを失った現代人の不毛な生き方を描いた作品。
マルチェロ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、かつては作家志望の夢を抱いていましたが、今は社交界ゴシップ専門のトップ屋。ローマの上流階級や芸能人が多く出入りする高級クラブやカフェで彼らとの交友を楽しんでいます。同棲している女性エマ(イヴォンヌ・フルノー)がいても、大富豪の娘マッダレーナ(アヌーク・エーメ)と浮気。そんな中、ハリウッドのグラマー女優シルビア(アニタ・エクバーグ)が撮影のためにローマへやってきます。彼女を取材して、天真爛漫そのものの彼女にのぼせあがり、行動をともにし、一緒に朝帰り。それを目撃したシルビアの亭主(レックス・バーカー)にマルチェロは殴りとばされます。それでもマルチェロは、享楽的でせわしない生活を続け……
巨大なキリスト像をヘリコプターで運ぶシーン、倦怠そのもののワイルド・パーティのシーン、浜辺に打ちあがった腐った怪魚のシーンなど、象徴的な効果がある印象的映像はありますが、フェリーニの傑作『道』と比べると難解で、今イチ良さがわかりませ~ん。
マルチェロの相棒で、上流階級や芸能人を追いまわすカメラマンの名がパパラツォといい、パパラッチがここからきているとは知らなんだ。
画像は、トレビの泉で戯れるシルビア役のアニタ・エクバーグ。