週に一度は西部劇

DVDで『拳銃のバラード』(1967年/監督:アルフィオ・カルタビアーノ)を再見。ベテランのガンマンと若い賞金稼ぎが凶悪な強盗団と戦うマカロニウエスタン

若い賞金稼ぎニグロス(アンジェロ・インファンティ)は、ベドージャ(アル・ノートン)とキンキ(アントニー・フリーマン)の兄弟が率いる強盗団を追っています。町で一味だった男を見つけ、女とおネンネしている酒場の二階へ。男は気づいて衝立のうしろに隠れますが、サーベルを投げつけて殺します。階下では、ベドージャに罠をかけられ16年も刑務所に入っていた中年ガンマンのクッド(アントニー・ギドラ)が殺された奴の相棒を捕えてベドージャの居所を尋問。ニグロスとクッドはどちらがベドージャを倒すかでもめますが、お互いに早撃ちの妙技を見せ、戦う相手が同じことから、ニグロスは賞金、クッドがベドージャと決闘するという協定を結びます。二人がベドージャ一味を追って行った町は、すでに一味が銀行を襲撃して逃げ去ったあと。この銀行襲撃がガサツなマカロニには珍しく具体的にキチンと描けています。最初に銀行へ運ぶ金箱を乗せた駅馬車を待伏せして襲い、駅馬車を囮にして一味が銀行へ潜入。キンキの部隊が別の場所を襲って銀行を護衛している連中を誘き出します。その隙をついてベドージャ本隊が銀行を襲撃。潜入していた仲間が内部からベドージャを引き込むという段取りね。

メキシコ人の農民から一味が廃坑に向かったことを知らされたクッドとニグロスはダイナマイトの名人を仲間に加え、廃坑で決戦。クッドとニグロスは父親から譲られた同じペンダンを持っている兄弟で、最後は兄弟対兄弟の対決です。

マカロニのプロットはどれも似たようなもので、面白くなるかならないかは監督の腕次第。カルタビアーノはいろいろ趣向をこらし、がっちりと構成しています。カルタビアーノはこれが初監督作品ですが、マカロニの持つ面白さを全て結集した感じ。彼はなかなかの才人で、監督だけでなく脚本も書き、俳優としてもベドージャ役(アル・ノートンは輸出向け芸名)で出演。この悪党ぶりが実に良いんですな。雰囲気だけでなく動きもグッド。片手でライフルを撃つスタイルがきまっていました。『ロード島の要塞』や『スパルタカスの復讐』などのマカロニB級史劇の俳優(カルタビアーノ名)兼スタントマンだったことが動きの良さに出ていますね。アントニー・ギドラの格闘シーンは後ろ姿ばかりで、カルタビアーノがギドラのスタントをしていたのでないかと私は密かに思っています。

マルチェロ・ジョンビーニが場面を盛り上げる音楽を担当。タイトルで流れる軽快な曲はベドージャ一味のテーマとして使われ、エンドクレジットで流れるペッピーノ・ガリアルディが歌う主題歌が主人公たちのテーマとして使われています。仲代達矢が、この伊語の主題歌を日本語でカバー。仲代の自伝によると、「これからの俳優は芝居だけでは物足らない」と考えて吹き込んだとのこと。♪~黒い影の、死神連れて~と、声の良さだけは魅力的です。ちなみに、私が観たDVDには、特典として英語版クレジットがあり、英語の歌も聴くことができま~す。