天下の旗に叛いて

nostalji2006-05-20

南原幹雄:著の『天下の旗に叛いて』(新潮文庫:1992年9月25日第1刷発行)を読了。1440年(永享12年)4月から1年に亘る結城合戦を描いた歴史小説です。結城合戦というのは、6代足利将軍・義教に反乱して倒された関東公方足利持氏の遺子・安王、春王、永寿王を庇護した結城氏朝・持朝父子と足利幕府軍との戦いです。結城軍1万に対して幕府軍10万で、1年も持ちこたえたことは歴史に残るでしょうね。小説では義のための勝算なき戦いとして描いていますが、当時の武将が勝ち目がなくて兵を挙げるか、私としては疑問です。将軍・義教は、人一倍自尊心が強く、気短で暴慢な性格のため、叛心を持った武将が多くいました。結城氏朝は、もっと自分に味方する武将がいると予測したんじゃないですかね。義教は結城合戦勝利の祝宴を赤松邸で開き、その席上で赤松満祐に殺されているんですから。おかげで、唯一生き残っていた持氏の遺子・永寿王は、その騒動にまぎれて処分されずにすんでいます。永寿王は後に古河公方・成氏になりま〜す。
小学生が殺されるという事件が、ここ数年多発していますが、私が小学生だった昭和30年代にはなかった現象です。毎回、犯人が捕まる度に原因を究明して再発を防ごうといったコメントが出ますが、社会全体が狂っているとしか言い様がないんですよ。狂った社会に、狂った人間が出てくる。地域社会の結束を呼びかけるなら、まず隣人を知ることから始めるべきでしょうね。無関心なのが一番いけませ〜ん。