塩八、死す

nostalji2008-01-08

新必殺からくり人』を観る。からくり人のひとり今昔亭塩八(古今亭志ん朝)の最期でした。関所の悪役人(深江章喜)に拳銃で射たれた塩八が、関所の役人たちを引き留めておくために最後の力を振り絞って噺をするのですが、志ん朝の名演技により壮絶な最期となっています。初代『鬼平犯科帳』(主演:松本白鸚)の木村忠吾が最高と思っていたのですが、こっちの方が上ですね。
画像は、志ん朝の『居残り佐平次』のCDジャケット。『幕末太陽伝』(監督:川島雄三)の元ネタが知りたくて購入したものですが、志ん朝が巧いんだなァ。主人公の佐平次は超がつくほど調子のいい男ですが、労咳に侵されていて、死に対する不安をまぎらすための陽気さを言動の裏に感じさせるんですね。つまり、陽気さの中に哀れさを感じさせる襞を志ん朝が見事に表現しているんですよ。表の顔は噺家だが、裏の顔は常に死と直面しているからくり人・塩八に通じるところがあります。
ネットサーフィンしていて、たまたま1966年と68年の大晦日のテレビ番組欄を見つける。昨年大晦日の『紅白歌合戦』の視聴率は39.5%(第二部)で過去2番目に低い数値でしたが、当時(7時20分から21時は大河ドラマの総集編で紅白は21時開始)は視聴率が75%を越えていました。それで、他局がどんな番組をしていたかというと、日本テレビは通常番組、TBSは19時〜21時は歌番組の特番で紅白の時間帯は通常番組、NET(現:テレビ朝日)は19時〜21時は通常番組で紅白の時間帯は“お笑い”の特番、東京12チャンネル(現:テレビ東京)は現在も続いている“想い出のメロディ”となっています。フジテレビは1966年が紅白の時間帯に特番のお笑い番組、68年が19時〜21時が特番のグループサウンズ大会となっており、各社とも“打倒!紅白”の意気込みが感じられない編成ですね。それだけ紅白が大晦日の習慣として定着していたといえま〜す。