最初の歌う映画スター

nostalji2008-08-12

録画していた高田浩吉主演の『唄祭り佐太郎三度笠』(1957年・新東宝/監督:中川信夫)を観る。高田浩吉は戦前からの二枚目スターでしたが、終戦後の復帰は遅いものでした。それは、高田浩吉が戦時中から戦後にかけ劇団を結成して長いこと地方を廻っていたからなんですね。1951年に松竹と契約して映画界に復帰したものの、作品の殆どは傍役でした。しかし、1953年に新東宝で主演した『晴れ姿・伊豆の佐太郎』は、歌う映画スター高田浩吉の本来の持ち味を活かしたヒット作となりました。『唄祭り佐太郎三度笠』は、経営不振となった新東宝が、『晴れ姿・伊豆の佐太郎』を三本立て上映用に編集した縮小版です。新作映画の代わりに旧作を編集して題名も変えて公開するという誤魔化し商法ですな。
内容は、悪徳ヤクザを斬って旅に出た主人公が(高田浩吉)が故郷に戻ってきて恋人(嵯峨美智子)に横恋慕する親分(三島雅夫)をやっつける股旅時代劇です。旅の途中で助けた井伊大老の密書を運ぶ男装の娘(久保菜穂子)や、それを狙う水戸藩士(佐々木孝丸)、剣の師匠でヤクザの用心棒をしている浪人(岡譲二)、押しかけ弟分(田崎潤)などが絡んで物語が展開していきます。中川演出に際立ったところはなく、高田浩吉を活かしてソツなく纏めたあげた感じで〜す。
画像は『伊豆の佐太郎』のレコードジャケット。1935年に『大江戸出世小唄』の主題歌を歌って大ヒットし、歌う映画スター第1号になった高田浩吉の戦後最初のヒット曲です。劇中で主題歌を歌いながら旅を行くシーンは浩吉股旅時代劇の定番となりましたね。