マンガでなく劇画

nostalji2009-09-06

平田弘史:著の『血だるま剣法』(青林工藝社:2008年12月18日第5刷発行)を読了。マンガ史をひもとく時、貸本屋でマンガを読んで育った私にとって、貸本劇画は大きな存在です。貸本屋には少年マンガ月刊誌の他に、貸本屋用に出版されていた数多くの劇画本がありました。マンガ月刊誌が小・中学生向きだったのに対し、劇画は青年を対象にしていました。といっても、面白ければ少年も青年もないわけで、日の丸文庫から出ていた劇画月刊誌の『影』(ハードボイルド専門)や『魔像』(時代劇専門)はよく読んでいましたね。『魔像』に掲載されていた平田弘史の作品は完成度が高くて、私のお気に入りでしたよ。
血だるま剣法』は、『魔像』の別冊として刊行された長編で、平田弘史の初期最高傑作と云われていますが、貸本屋に置かれたのはわずか1ヶ月でした。部落解放同盟の抗議で、回収・廃棄・絶版処分となったんです。その後、40年以上封印され、やっと復刊されたのですが、噂通りの作品でしたね。とにかく凄まじいの一語につきます。その凄まじさの中に、差別された人間の憤りが著者の画力と相俟って、人間ドラマとして伝わってきま〜す。