マカロニ革命劇

nostalji2009-09-23

DVDで『群盗荒野を裂く』(1967年/監督:ダミアノ・ダミアーニ)を再見。マカロニ・ベストテンを選ぶとすれば、絶対に外すことのできない傑作です。そして、メキシコ革命劇を扱った作品の中でも最高だと私は思っています。理由は、HP:西部劇シネマ館でね。⇒http://www2u.biglobe.ne.jp/~kazu60/makawk2/mausw6.htm
この作品は、大雑把なマカロニにあって、傍役に到るまでキャラクター作りがしっかりできています。中でもボロンテの弟になるクラウス・キンスキーと、群盗の紅一点マルチーヌ・ベスウィックは存在感がありますね。冒頭の列車襲撃において、「あなたも司祭なら、神に祈りなさい」という神父に対して、「キリストは貧乏人だった。お前も貧乏人のために祈れ!」と言って、神父を射ち殺すところや、砦の襲撃で、「メキシコの獣め、呪われろ。父と聖霊の御名のもとに」と言ってダイナマイトを投げつけるところは、キンスキーの狂信性が出ていて印象に残ります。キンスキーはボロンテの異父弟という設定ですが、父親はドイツ系軍人でしょうね。当時メキシコには、政府軍の軍事顧問としてドイツ人がいましたからね。そして、母親は娼婦だと思うんですよ。髪の毛の色が違う子どもは、きっと賢かったでしょう。賢い子どもは聖職者となるために教会へ。しかし、メキシコの農民の状況をみて、神と民衆のために手を血で汚す狂信者になっていったと思えるんですよ。
一方、マルチーヌ・ベスウィックは浅黒い肌をした黒豹のような女。15歳の時に政府軍の兵士に暴行され、それを契機に戦う女になっていったのです。♪〜アデリータが去れば どこまでも追う。  海を越えるなら軍艦で 陸を行くなら軍用列車。オレの女になるのなら〜、と仲間に歌われる通り、私だってどこまでも追いかけていきますよ。しかし、彼女は男なんか頼らずに、自立できる強い女なので、私なんか相手にしてくれないでしょうねェ。画像は、マルチーヌ・ベスウィック。